目覚めない女性
夢から目が覚めたユウトは先ほどの夢での出来事を頭がまだボーとするなかノートに書き始める。
書いている途中に頭が眠気がとれた時、今までの夢とは異なることに気づく、今まで見てきた夢は夢だと起きた時に納得するのだが今回見た夢は本当に夢だったのか?と自分に質問した。
それよりも一番胸に刺さったのは最後に彼女が見せた不安そうな顔とカレーライスの時の嬉しそうな顔がユウトの脳内をグルグル回っていた。
時刻は午前10時、バイトが休みのユウトはさっきの夢をきっかけに久しぶりに空港が見える海辺に電車に揺れながら足を運んだ。
夢とは違い飛行機も飛び、電車も動いており多くの人によって賑わっていた。
気持ちの良い風がユウトにあたると夢で出てきた彼女を思い出す。
その後はフードコートで当時はたこ焼きを頼んでいたが今回はカレーライスを頼み、口にするが彼女が用意してくれたカレーライスとは味が違っていた。
「彼女が用意してくれたカレーライスをもう一度食べたい・・・」とあいう思いが自然とユウトの頭を過った。
だが夢は夢だ。もう二度と彼女には会えないだろう。そう自分に言い聞かせ心を穏やかにさせていると中年の男性がユウトに話しかけてきた。
「すみません、この辺に病院ありますか?」
「あー、知っていますよ!道は複雑ですが近くなので良かったら案内しますよ」
「本当ですか!いやー助かります!」
簡単な会話をしながら病院に着くとユウトは男性から「良かったら妻に会っていただけませんか」と言われ院内までついていくことにした。
男性の奥さんがいる部屋に入ると奥さんともう一人患者がいた。
「あら、ちゃんと迷わずに来れたかと思ったら案内してもらっていたのね」
「この子に案内してもらったんだ、ついでに君とサトミにも会ってもらおうと思ったんだ」
「夫がご迷惑をおかけして申し訳ありません、なんとお礼を言ったらいいか」
深々頭を下げる奥さんに対してユウトは「大丈夫ですよ」と言った。
奥さんの前には包帯を巻かれた植物状態の女性がベッドに横になっていた。
「私たちの娘なんだ、5年前に事故にあってね」
男性が奥さんの隣に座りユウトに微笑みながら言った。
「良かったら時間などあったりしたらこの子に会ってほしいんだ」
「僕なんかがお見舞いに来てもいいんですか?」
「はい、もしよければいつでも来てください」
奥さんが旦那と微笑みながら言うとその後も楽しい会話が誰もいない部屋に響き渡った。
それから病院を出て、適当に時間を過ごすとすっかりと日が暮れ夜になっていた。
帰りの電車、今日の家族の事を思い出していたら、一つだけ気になることがあった。
あの家族初めてあったような感じがしなかったのだ。
まあ、偶然だと思うけど。と思いながら電車に揺れながら家に帰宅していった。
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