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この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

二人の私、愛しき人よ

作者: 梅干子


縮こまってキツく縛って沈めて…


視界に映るその揺らめきはキラキラと七色に光る。


私が消えていく。それがこの上なく嬉しい。


さようなら、私。


そしてありがとう、私。


私と私は入れ替わる。何事もなく日常は流れる。


けれど私は知っている。あなたは誰よりも尊いお方。私も知っているよ。君は何者よりも強く美しい。


手と手を取り合い交わったたくさんの思い出が、鮮烈に脳内を突き抜ける。


誰よりも愛しいあの人はあなたに託そう。彼は私を忘れない。あなたが私になるから。顔も声も表情さえ等しい私たちを見抜ける者はない。


だから彼もわからないはずだ。それが少し寂しい。けれどホッとする。だって、わからなければ彼が悲しむことはないから。


神様がいたら呆れるかしら。こんなに愚かな私を。


愛していました。


だから私は消え行くのです。


お迎えが来たようだ。さようなら、愛しい君よ。私の全てをかけて君の愛しき人を守ろう。そのためなら私の心すら捨てよう。君への思いは届かないけれど、君の思いが彼に届くように。




一人の私は消え、一人の私は私になり、そして彼は騙される。


三人の思いはすれ違い、儚く散って死に絶える。


神は嘆く。どうして人は人を愛するのか。思いが人を殺すのに。


誰も救われないお話は、結局誰にも知られずに、今もなお海の底に沈んでいるのだ。

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