プロローグ
少女は立っていた。
普通の人間ならとっくに動けず床に倒れているか、逃げ出しているだろう。
彼女の顔は自分の血で真っ赤になり、左腕は骨折していた。
目の前にはまるで"バッタのような外見をした人型の化け物"がいる。その周りにはさっきまで一緒に戦っていた仲間達の死体が転がっている。
一瞬だった。化け物は何の特殊な能力や魔法も使わずにただパンチとキックだけで多くの騎士達を」殺していった。
騎士達が弱い訳ではない。彼等は帝国"ラスティール"の騎士団の中でも随一の部隊だ。多くの魔物や魔獣を討伐してきたし、魔族との戦争も多くの戦果を上げ生き残ってきた猛者達だ。先日も帝都の近くで暴れていたワイバーンを倒したばかりであった。
その騎士達が一瞬でやられた相手に少女1人で敵うはずがないことは彼女自身がわかっている。
しかし、このまま化け物を見逃してしまえば仲間達の無念が報われない。何より帝国に住んでいる民達の命が危険になってしまう。そんな事、幼き頃から騎士に憧れ目指してきた自分を裏切る行為だと思ったからだ。
(父上、母上、カレン、私は先に行きます。英雄マルセイユの孫として騎士として。)
(お世話になりました。)
少女は剣を構える。
「さぁ、こい化け物。私の命と引き替えに貴様の腕、貰い受ける。」
化け物が猛スピードでこちらに向かってくる。
少女が覚悟したその時
ブゥゥゥゥウン!!ドゴ!!
何かが化け物に衝突する。それは大きな音を立て衝突した鈍い音を出して、姿を表した。
その乗り物は未だかつて少女が見た事も聞いたこともない奇妙な外見をしていた。
黒い車輪が二つ付いており緑色の細い乗り物みたいだった。
それにまたがって座っている男をみて彼女は驚いた。なぜならその男は先ほど彼女が助け、帝都まで逃げるように指示をした男だったからだ。
彼女は叫ぶ。
「なぜ、戻ってきた。こいつは君みたいな素人では絶対に勝てない。お願いだ逃げてくれ。じゃないと私やあいつらの想いが」
男は振り返り、
「僕はライダーみたいだから、もしあのまま逃げたらきっと"彼等"を裏切ってしまうから、だから」
すると先ほどの衝突により倒れていた化け物が動き出した。まるで先ほどの衝突がなかったかのように。あまりダメージは与えられてないようだった。
彼はバイクに付いてあった細長い物体を取り出す。それを腰に当てた。すると物体から帯のようなものが彼の腰周りを締め付けた。彼は懐から石のようなものを取り出しポーズをとりながら石を腰につけた物体にはめた。
「変身」
[Change Rider No Folm]
彼の叫びと物体からの音声とともに彼は姿を変える。彼の憧れているヒーローに。
これはドラゴンなどのモンスターや魔法といったものが存在する世界で活躍するヒーローの物語である。
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