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Episode 94

 レイフォンはひとりで冒険者ギルドに訪れていた。


 ギルド内には数人の冒険者しかいない。


 依頼板にはいくつもの行方不明者捜索の依頼の紙が貼られていた。


 魔族に襲われた街などで姿を消した人達のことであろう。


(結構、報酬が高いのばかりだけど……たぶん、ほとんどは生きてはいないだろうな)


 レイフォンが思うように他の冒険者達も思っているようで、誰も依頼を受けようとしていなかった。


 依頼を受けてもおそらくは見つからない。


 それに、魔族達が襲った場所である。


 魔族達が人間の暮らす地域から姿を消したといっても、いる可能性は0ではない。


 リスクが高すぎるのである。


「よっ! 坊主。依頼を探しているのか?」


「あっ、はい」


 レイフォンに話しかけてきたのはガタイのいい男性冒険者。


「残念だが今はこういった魔族関連の依頼しかないぜ。まっ誰も受けようとは思わないがな。それに、普通の依頼でさえ受ける冒険者が今は少ないからな」


「どうしてですか?」


「魔族だよ、魔族。またいつ襲ってくるかわからねぇからな。おちおちと落ち着いて依頼なんてできねぇんだよ」


「なるほど。教えてくれてありがとうございます」


「いいってことよ。まっ、お前も魔族には気を付けろよ」


 そう言って男性冒険者はギルドカウンターの方へと向かっていった。


(魔族に気を付けろね……確かにな)


 レイフォンが頭に思い浮かべたのは魔王の娘ミリベアス。


(あいつは本当に何を考えてやがる。アシュが正妻だとか自分が2番目だとかわけがわからねぇし……アシュまでおかしくなりやがったし)


「はぁ~」


 ため息をつくレイフォン。


 今はそんなことよりと再び依頼を探すレイフォン。


 その時


「ーーイルガリア王国ですか……」


「はい。現在イルガリア王国がどうなっているのか私は知りたいんです」


「しかし……あの国は……現状確認の依頼だけと言ってもおそらくは依頼を受ける冒険者はいないですよ?」


「そ、それでも……」


「依頼を出されますか?」


「はい……お願いします」


 マリベルがギルドカウンターでなにやら依頼を出しているようであった。


 マリベルのうしろには護衛の女性が立っている。


「よっ! マリベル。こんなとこで会うんなんて奇遇だな?」


「ふ、二股レイフォンさん!?」


「なんだよ! その呼び方は!」


 手をあげて話しかけたレイフォンに対して驚き、変な呼び方で名前を呼んだマリベル。


 レイフォンの返しは早かった。


「あっ、すみません……つい」


「ついじゃねぇよ! 昨日のあれはそう言うんじゃない」


「姫、いえマリベル? こちらの男性は?」


「えっと……二股をしていないレイフォンさんです」


 姫様と呼ぼうとした護衛の女性に尋ねられたマリベルは答えた。


 だが


「二股から離れろよ! お前!」


 レイフォンが素早くつっこむ。


「……とりあえずレイフォン、君でいいのかな?」


 護衛の女性は苦笑いである。


「そうです。そいつの言ったことは気にしないでください」


「わ、わかったわ。私はマリベルの姉みたいな者よ。名前はエリザと言うわレイフォン君。よろしくね」


 マリベル達は正体を隠していた。


 しかし、レイフォンは神様からの情報でマリベルがイルガリア王国の王女であることを知っていた。


「そうだったんですか。よろしくお願いしますエリザさん」


 そんなことはどうでもいいと思っているレイフォンは、エリザに差し出された手を握り握手をしたのであった。


 

 

お読み頂きありがとうございました。

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