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Episode 92

 定食屋から出たレイフォン達三人。


 レイフォンの左右の腕にはアシュリーとミリベアスがピッタリとくっついていた。


「……なぁ? 歩きにくいんだけど?」


「わたくしは大丈夫だけど?」


「わ、私も大丈夫よ!」


 レイフォンの言葉にニコニコとした表情で答えるミリベアスと顔を赤くして恥ずかしそうに答えるアシュリー。


「俺が大丈夫じゃないんだよ! つか、アシュ恥ずかしいなら離せよ」


「は、恥ずかしくなんかないもん!」


「もん、ってな……」


 呆れた表情でため息をつくレイフォン。


 目立ちたくないレイフォン。


 だが、今の状況はとても目立っていた。


「くそっ、あのガキ羨ましいぜ」


「あれが両手に花ってやつか……」


「俺なんて昨日フラれたばかりだというのに……憎い」


 街の若い男性達の声。


 まる聞こえである。


「ほら、なんか注目されてるだろうが?」


「なら、まだ明るいけど人気のないところにいく?」


「レ、レイが望むなら私も……」


「本当にどうしたアシュ? おかしいぞお前?」


「う、うるさい!」


 アシュリーは自分でもおかしいことはわかっているのだろう。


 ただ


 ミリベアスには負けられないとの思いが今のアシュリーの状態へとつながっていたのだ。


 ーー


 レイフォンが両手に花のまま歩いていると前からマリベルが歩いてきた。


 横には神様がついて歩いている。


「まぁー!?」


 驚くマリベル。


「マリベルだったわね? こんにちは」


「こ、こんにちはマリベルさん」


「あ、はい……こんにちはミリベアスさんにアシュリーさん……それと……レイフォンさん」


 最後にレイフォンに妙な視線を向けたマリベル。


「これには色々と事情があるんだよ」


「じ、事情ですか?」


「そうだよ」


 どんな事情か少しだけ気になったマリベル。


『レイフォンモテモテだね? くくく』


『黙れ阿呆犬』


 困っている表情のレイフォンを見た神様は楽しそうであった。


「も、もしかして二股というものですか?」


 ズバリ尋ねるマリベル。


「違うわよ? アシュリーが正妻でわたくしが二番目になる予定よマリベル」


 答えたのはミリベアス。


「「はっ!?」」


 同時に驚くレイフォンとアシュリー。


 そんな話はした覚えはない。


「あら? アシュリーはレイフォンの正妻はいやなの?」


「えっ? それは……いやではないですけど……その……まだあれといいますか……その……」


 顔を赤くしてモジモジとしだすアシュリー。


「なら問題ないわね」


「あるに決まってるだろアホ!」


 笑顔のミリベアスにつっこむレイフォン。


「あら? レイフォンはアシュリーが嫌いなの?」


「えっ……そうなのレイ?」


 不安そうな表情のアシュリー。


「頼むから冷静になれよアシュ……俺はお前のことは好きだ。だけど今はそういうことじゃないだろ? このアホ(ミリベアス)の話をまともに聞くなって俺は言いたいんだよ」


「あ……うん」


 レイフォンから好きとの言葉を聞けたアシュリーの表情は嬉しそうである。


「アホっていうのはわたくしのことかしら?」


「お前以外に誰がいるんだよ!」


 話を聞いていた神様は瞬時に前足で額の文字を隠した。


「とにかくだマリベル? なんでもないから気にするな」


「へっ? あ……そうなんですか……」


 流石になんでもないはずではないと思うマリベルであった。




お読み頂きありがとうございました。

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