Episode 9
レイフォンがアシュリーに会う数時間前。
「お~い! 神様! 神様! 神様! 大人しく出てきてくれよ神様ー!」
レイフォンは森で神様を捜していた。
「何だい? ボクは何か悪い事でもしたかな? で、すぐに内緒をばらしたレイフォンはボクにいったい何の用なんだい?」
子犬の姿をした神様がレイフォンの呼びかけにやれやれといった感じて姿を現した。
「そんな事はどうでも良いから。願い、願い事だ神様。俺、叶えてもらう願い事が決まった」
「いや、君の願いは既に叶えてあげたからね? それに丁寧だった話し方の君はいったいどこにいったんだい?」
冷静な口調で返す神様。
「今はそう言うのはどうだっていいから神様。じゃあ、とりあえず願いは変更で」
「まっいいんだけどね。あと君、簡単に言うけど願いの変更なんて出来ないよ。けど、ボクは神様だからね。願いを"聞く"だけなら聞いてあげてもいいよレイフォン?」
とりあえず、まっいっかと話はじめるレイフォン。
「なら聞いてくれ神様。アシュ、俺の幼馴染みを守ってほしい。神様が勇者パーティーメンバーに選んだアシュリー・テンペリスをだ。そいつはこれから魔族の国に向かって魔王を倒しにいかなくちゃならないんだ」
「ボクが選んだ? 知らないけど」
レイフォンの願いと話を聞いた神様は本当に知らなさそうな様子を見せる。
「じゃあ、別の神様が選んだんだろ?」
「う~ん、おかしいな……」
そんなはずはないんだけど、と目を瞑って考えるような仕草を見せる神様。
「しょうがない。もう、君の願いは叶えてあげれないけど、レイフォンにこれをあげるよ」
「これは?」
目を開けてから神様がレイフォンに渡したのは赤と青のふたつのペンダント。
「この赤いペンダントのひとつをその幼馴染みに渡すといいよ。もし、その幼馴染みが危険な状態になったらもうひとつの青いペンダントに伝わる仕組みになっている。このペンダントは"特別"にレイフォンにあげるんだからね? 今度こそは"内緒"にしてね?」
「わかった内緒にする。ありがとう神様」
"特別"と"内緒"と言葉を強調した神様に、今回はちゃんと聞いて返事をしたレイフォンは神様に礼を述べるとすぐに走って去って行ってしまった。
ーー
レイフォンが去って行ったあと
「やれやれだよ、まったく彼は今日も急いでいたね。それにしても……神様が選んだ、ね? ボクは勇者も勇者パーティーメンバーなんかも選んだ覚えはないんだけどな? それに、レイフォンは別の神様が選んだとか言っていたけど神様は……ボクだけなんだよね」
神様は考え、呟いていたのであった。
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