Episode 87
アシュリー、マリベル、ミリベアスの3人はブラックベアを倒したあとにすぐに場所を移動した。
三人とも目立つにはいかなかったからである。
同じ場所に移動した三人は自己紹介をはじめた。
「私はアシュリーといいます」
「私はマリベルです」
「わたくしはミリベアス」
当然、名前だけの自己紹介である。
「なあ? なんでお前らが俺の買った串焼きを食べてるんだよ?」
「こっちの器の小さなやつがレイフォンです」
「どんな自己紹介だよそれ!」
三人はレイフォンの購入した串焼きを食べながら話していた。
「いいじゃない? レイは何もしてないんだから?」
「理不尽だ……」
ぼやくレイフォン。
「そ、それにしてもおふたりは本当に凄かったです」
レイフォンをチラッと見たあと話題をブラックベアを倒した時の話にもっていくマリベル。
「わたくしはたまたまよ」
「私もです」
「そうなんですか? 私は戦いとかは全然ダメなので憧れちゃいます」
「アシュに憧れては駄目だぞ」
「へっ? どうしてですかレイフォンさん、でしたよね?」
話に入ってきたレイフォンに尋ねるマリベル。
「そいつはな……」
「レイ?」
「見た目通り心優しい女神のような女性なんだ」
アシュリーの笑ってない目を見たレイフォンは瞬時にアシュリーを褒めはじめた。
「なら問題ないのでは?」
首を傾げるマリベル。
「口には出せない問題があるんだよ……」
小さく呟いたレイフォン。
「それにしてもアシュリーと言ったわよね? その剣は珍しいわね? 少し持たせてもらえる?」
「えっ……その……無理だと思います……」
ミリベアスはアシュリーの言葉に首を傾げた。
「持ってみないとわからないじゃない?」
「はい……なら、一度地面に置きますね」
「ん? よくわからないけどわかったわ」
そして
地面に置かれた剣を握り持ち上げようとしたミリベアス。
だが
「何よこれ!? びくともしないわ!」
驚きみせるミリベアス。
「その剣は持ち主の私にしか使えないんです」
「なるほど……私が持てない剣とは……本当に驚いたわ……」
「そんな剣があるんですね? 凄いです!」
目を輝かせるマリベル。
その時
「ワン!」
「あっ、子犬さん!」
子犬が真っ直ぐにレイフォン達の方に駆け寄ってきた。
そして
腕を広げるマリベルにではなく、レイフォンに飛びついた子犬。
「ワォーン!」
『レイフォン見つけた!』
だが
避けるレイフォン。
子犬はレイフォンがもたれていた壁に激突した。
「大丈夫! 子犬さん!」
「神様!?」
心配するマリベルと神様に気づき驚くアシュリー。
「レイフォンさん! なんで避けるんですか!」
抗議するマリベル。
「だって知らない犬だし」
『ひどいよレイフォン……』
「ほら! 泣いてるじゃないですか!」
面倒そうに頭をかくレイフォン。
「わかったよ……悪かったな犬。そして家に帰れ犬」
「レイ……」
苦笑いを浮かべるアシュリー。
「あっ……その子犬なんですけどレイフォンの飼っていた子犬なんですマリベルさん」
「えっ!? そうなんですか?」
「そうなのか!?」
「なんでレイまでビックリしているのよ!? って、神様まで!」
確かに、何故か子犬こと神様まで驚き目を見開いていたのであった。
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