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Episode 82

 北の地域に位置する魔族の国『魔国』にある魔王城。


「魔王様、レゾナスに続きバルトスも勇者に敗北致しました」


「確か、バルトスとは南の地方を任せていた者だったなレギアス?」


「はい、そうでございます。魔王様どうなされますか? レゾナスに任せていた西の地方もまだ、後任となる者が決まっておりませんが?」


「では、一度人間の国にいる全魔族を退かせよ」


「全……魔族をでしょうか?」


「そうだ。聞こえなかったのか? 我輩に同じことを二度言わせるなよレギアス」


「も、申し訳ございません魔王様……ただちに全魔族を人間の国より退くように命令を致します」


「うむ。そして、我輩がよしといいうまでは人間の国に攻めこむことを禁じる。これもいいな?」


「はっ! 魔王様!」



 数日後、人間の国から突然と魔族達が姿を消したのであった。



 それから



 さらに一ヵ月の月日が経過した。



 ーーーー



 とある人間の街。


「魔族達が突然いなくなって、もう1ヵ月か……」


「だな……噂では勇者様達の力に恐れて撤退したらしいけど……」


「どうなんだろうな……」


「本当にそうであってほしいが……」


 魔族達は姿を消したが人々からの不安が消えることはなかった。


 それはそうであろう。


 魔王復活の噂が人々に広がり、それから魔族達が人間の国に攻め動いた期間は約三ヵ月。


 その間に確認されているだけで5つの国が滅んだ。


 流石に三大国自体が滅びることはなかったが、この三大国もいくつもの街や村が滅ぼされたのであった。


「なあ? 次にもしも魔族達が襲ってきたら俺達は……」


「そ、その話はもうやめようぜ……」


「ああ……」


 ここの街だけではない。


 どこの街でも村でも、このような不安視する声が聞こえていたのである。


 勇者がいるからと安心できる状況ではないと。



 ーーーー


「姫様、やはり魔族達が人間の国から姿を消したというのは本当のようです。これからどうなされますか?」


「国に、イルガリア王国に帰りたいというのが本音ですけど……それはまだできません」


 マリベルがイルガリア王国から逃げ出してから一ヵ月が過ぎていた。


 当時、意識を失わされたマリベルは走る馬車の中で目覚めた。


 その時のマリベルは今のような冷静な状態ではなかった。


「それにしても……魔族達は何を考えているのでしょうか……」


 マリベルがはじめて魔族達が人間の国から突然と姿を消したとの噂を聞いたのは、イルガリア王国から出て1週間後のことだった。


「それは……自分にもわかりません……」


「そうよね……とにかく今は状況を見守りましょう……残念ながら今の私にはすぐにイルガリア王国に帰ってもどうすることもできません……情けないことですが……」


 最後に唇を噛み締めたマリベル。


「そんなことはありません姫様!」


「そうです!」


「何もできないのは自分達も一緒です。焦らずとも必ず……きっと必ずチャンスは訪れます姫様」


 マリベルの言葉に3人の護衛がすぐさま言葉を返した。


「そうね……爺も言ってたわ、焦りは禁物だってね、ふふっ」


 少し懐かしむ表情を見せて小さく笑ったマリベル。


「そういえば、三大国の様子はどう?」


「いえ、まだ3大国ともにこれといった発表はございません」


「となると……勇者様達の力に恐れて魔族達は撤退したというのは……」


「ただの噂でしょうね」


 もしも、本当に魔族達が勇者達の力に恐れて撤退をしたというのなら、三大国はすぐにでも発表したはずだとマリベルは考えていた。


 魔族達は我等の国の勇者に恐れて撤退した


 などと大々的に。


「なら、勇者様達でさえも魔族達に苦戦していたという噂は……」


「事実でしょうね。どの勇者様達も自国を守るので精一杯だったと思われます」


「では、やはり魔族達は意図的に撤退したということよね?」


「そうなりますね……魔族達の意図はまったくわかりませんが……」


「嫌な予感しかしないわ……」


 マリベル達はとある国の街に潜伏し今の状況を見守りながら、魔族と三大国の情報を集めていたのであった。


 


お読み頂きありがとうございました。

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