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Episode 80

 翌朝。


 南の勇者パーティー三人は報告をしなければいけないために、レイフォンとアシュリーのふたりより先に街を離れていった。


 そして、ふたりの要望によりバルトスは南の勇者パーティーだけで倒したことにしてほしいとのことに三人は渋々ながら了承したのであった。



 ーーーー



 サウザトリス王国の王都に向かい走る馬車。


「シンメとトリーはどう思った?」


「……レイフォン君のことよね?」


「うん……」


 ミカレの言葉に返事したのはトリー。


「魔法剣エンファートにも驚いたけど……彼……魔法を無詠唱で使っていたわね……」


 昨夜、レイフォンが自分の辛さを消すために使った時と剣に魔法をかけた時のことをシンメは言っているのである。


「最初に出会った時の私の魔法を消した時のもそうじゃない?」


「確かに……」


「レイフォン君っていったい何者なのかしら……」


 レイフォンやアシュリーがいる時は一度も口には出さなかったが、三人はずっとレイフォンのことが気になっていたのであった。



 ーーーー



 三人を見送ったあとのレイフォンとアシュリー。


「それで、この魔法剣はどうしたのよ? 私には話してくれるんでしょ?」


「ああ、それは俺の生まれた国にあった剣なんだよ」


「それってレイ……」


「そうだ。インフェルリアだ……両親が俺に残したであろう物のひとつだったんだ」


「えっ? ならこの剣は……」


 アシュリーは剣をレイフォンに返そうと考えていた。


「気にするな。その剣はもう、アシュの剣だ」


「でも……」


「昨日は俺を殺して手にいれるつもりだったくせになんだよそらしくない顔は?」


 レイフォンの表情は笑顔である。


「それは……だって……」


 少し恥ずかしそうな表情のアシュリー。


「その剣が少しでもアシュの力になり、守ってくれるなら俺はそれでいいんだよ」


「レイ……」


 アシュリーの顔は赤い。


 昨夜のやりとりとはまったく違うふたり。


「……さて、これから俺達はどうするアシュ? もう少し南に向かうか?」


「あっ……それは……レイに任せるわ」


 赤い顔を隠したいのかアシュリーは顔をうつむかせていた。


「ん? わかった。じゃあ、もうちょっとだけ南に向かうか?」


「うん……あとねレイ?」


「なんだアシュ?」


「昨日のレイを殺そうとしたのは嘘よ……」


「いや……本当だったら怖いからな?」


 恥ずかしそうに話すアシュリーに苦笑いで答えるレイフォン。


「と、とにかく私は……レイには死んでほしくはないんだからね!」


「ぷっ……おかしなアシュ。……だけどそれは俺も同じだアシュ。俺もアシュには死んでほしくない」


 ツンデレアシュリーを見て笑って返したレイフォン。


「うん……だから生きよう……そして……」


「ずっと一緒にいようアシュ」


「……うん」


 なんだかんだで結局は仲が良いふたり。


 ふたりが次に向かうのはさらに南の方。


 次はいったい何が待ち受けているのであろうか。


 レイフォンとアシュリーのふたり旅はまだまだ続くのである。




お読み頂きありがとうございました。





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