Episode 77
レイフォンはピンチを迎えていた。
相手は赤い悪魔(激辛唐辛子スープ)。
「ふっ……まさかこの俺がピンチを迎えるとはな……」
「何を言ってるのレイ?」
「大丈夫だアシユ……心配するなよ」
「してないわ」
明らかに様子のおかしいレイフォンに違う意味で心配になるアシュリー。
「だ、大丈夫ですか? レイフォンさん?」
「南の勇者ミカレじゃないか? 俺は大丈夫だ……俺は負けない!」
「はっ? 何に?」
何を言ってるのだろうと思うミカレ。
「アシュリーさん? レイフォン君はどうなさったのでしょうか?」
「私にもわからないです……」
トリーに尋ねられたアシュリーだが本当にわからなからない様子。
「なんていうか……残念イケメン……そんな風に見えるわ」
言葉を発したのはシンメ。
「アシュ……最後にいいか?」
「何が最後よ?」
「すまなかった」
「はっ?」
そして
レイフォンはスープをスプーンですくうのではなく容器ごと持ち上げた。
「神様……今、会いに行くぜ」
一気にスープを口に流し込むレイフォン。
少し時間が経過しているため、熱さは大丈夫だと思われる。
たが
「ぐっ……俺をここまで苦しめるとは……つか……辛! 辛! 辛! 辛れぇえええええ!!」
「……レイ?」
「水! 水! 水! 魔法でもなんでもいいから水をくれぇえええええ!」
「よくわからないんだけど……自分の魔法でどうなかできないの?」
「へっ?」
アシュリーに言われてはじめて気づいたレイフォン。
自分の魔法でこの辛さと痛みを消せることに。
「消えろ!」
すると
「……助かった……死ぬかと思ったぜ。アシユに飲ませる予定がまさか自分が激辛唐辛子スープを飲むはめになるとはな。はははは…………は?」
辛さと痛みが消えたレイフォンは新たなピンチを迎えることとなる。
今度の相手は目が笑っていなかった。
レイフォンはその相手の容赦のなさと狂暴さを知っていた。
赤い悪魔(激辛唐辛子スープ)にはなんとか勝てた? レイフォン。
だが
次の相手はそんな優しいものではない。
しかも、相手が今手にしているのは木剣ではなく伝説級の魔法剣である。
自分は魔王ならおそらく一撃で倒すことも可能であろう。
しかし
この相手には無理だ。
冷静になって考えろ自分と思った時。
相手の口が開いたのである。
「レイ? 貴方には3つの選択肢をさしあげます……一 焼かれて死ぬ……二 ふたつになって死ぬ……三 ふたつになって焼かれて死ぬ……さて、どれがお好みかしら?」
まるで本物の女神のように微笑むアシュリー。
「アシュリー様、できれば生きるという選択を私めに頂けませんでしょうか?」
「わかりました……来世は頑張って生きてください」
「うん。違いますよね?」
南の勇者パーティー三人は苦笑いでふたりのやりとりを見ていたのであった。
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