Episode 68
国境を越えてサウザトリス王国に入ったレイフォンとアシュリーのふたり。
近くに見えた街に到着した2人は誰もいない、おそらくは魔族に襲われたのだろうと思う街を見てまわっていた。
すると突然とふたりに向かって大きな水球(魔法)が飛んできたのである。
しかし
「ん? なんだこれ? 水か?」
とデコピンで水球を消滅させたレイフォン。
「な、なんで!?」
驚く知らない少女。
その後ろには同じ顔の少女がふたり同じように驚いていた。
「危ないだろいきなり? 遊ぶなら別のとこで遊べよ」
「レイ……それたぶん違うわよ……」
レイフォンが三人の女性ににかけた言葉にアシュリーは呆れていた。
「な、なにを言ってるのよ! 火事場泥棒め!」
「火事場泥棒?」
動揺しながらも大声で返してきた少女、ミカレの言葉にレイフォンは首を傾げた。
「ミカレは落ち着いて……あのふたりは火事場泥棒じゃないわよ。よく見てみなさい」
「へっ?」
トリーに言われてミカレはゆっくりとレイフォンとアシュリーの姿を確認した。
「よくわからないけど、疑いは晴れたか?」
「ご、ご、ごめんなさい!」
自分の早とちりに気づいたミカレは勢いよく頭を下げた。
「「ミカレがごめんなさい」」
シンメとトリーも続けて頭を下げてふたりに謝罪を述べたのだった。
ーー
トリーはレイフォンとアシュリーふたりに直前に火事場泥棒が現れていたことを説明した
「なるほどな」
「そうだったんですか……それなら仕方ないですね」
「いえ、仕方ないではすまなかったも知れませんので……ねっミカレ?」
「本当にごめんなさい……」
申し訳なさそうに再び謝るミカレ。
「それにしても君凄いわね? ミカレの全力に近い魔法をああも簡単に消しちゃうなんて?」
「たまたまだ」
シンメの言葉に曖昧に返したレイフォン。
「たまたまで……消されるなんて……」
ミカレはレイフォンの言葉に少しダメージを受けた。
「たまたまなのね……凄いわね。そういえば自己紹介がまだだったわね。そこのは、やとちりの勘違い娘がサウザトリス王国の勇者ミカレ・バレンタインよ」
「えっ!? 南の勇者様なんですか?」
驚いたのはアシュリー。
「驚くわよね? そして、私がシンメ・ホワイトで、こっちがトリー・ホワイトで私達は双子でサウザトリス王国の勇者パーティーメンバーよ」
「そうなんですか!?」
「アシュと一緒だな?」
「「「えっ!?」」」
レイフォンの呟きに南の勇者パーティー3人が驚く。
「あ、あの私はウェスタリア王国の勇者パーティーメンバーのひとりなんです。名前はアシュリー・テンペリスと言います」
「『英雄の女神様』!?」
アシュリーの名前を聞いたトリーが再び驚いた。
「よっ! 有名人」
茶化すレイフォン。
「じゃあ君がもしかしてーー」
「俺はアシュの幼馴染みでレイフォン。苗字はないただの一般の冒険者だからな?」
シンメが聞き終わる前に言葉を返したレイフォン。
他の国にまでふたつ名が伝わってることに頭をかかえるアシュリー。
その時
「「「うぎゃああああ!」」」
五人が話している後ろの方から男性達の悲鳴が聞こえたのだった。
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