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Episode 65

 南の地域に位置する三大国のひとつサウザトリス王国。


「また、街がひとつ……くそっ!」


 テーブルを叩きつける少女。


 サウザトリス王国の勇者


 ミカレ・バレンタイン


「ミカレのせいじゃないんだから落ち着いて」


「シンメの言う通り。あと、最後の言葉は下品よミカレ?」


 勇者ミカレに話しかけたのはサウザトリス王国勇者パーティーメンバーの双子の姉妹。


 姉 シンメ・ホワイト


 妹 トリー・ホワイト


 この三人がサウザトリス王国勇者パーティーである。


「しかし……」


「気持ちはわかるわ」


「だけど全てを守りきるのは不可能なのよミカレ」


「私には『天空人』の血がながれている。それなのに……」


 ミカレの父親は幻の天空の国『インフェルリア』から地上に降りてきていた天空人であった。


 地上に1度降りると『インフェルリア』に帰る手段はまずない。


「だからってミカレが物語の『インフェルリア』の人達みたいに魔法を使えるわけじゃないでしょ?」


「ミカレのお父さんだって、その天空人だけど魔法はあまり得意じゃなかったんでしょ?」


「『インフェルリア』規準での話よ。『インフェルリア』の人々は皆が魔法を使えたらしいわ。精霊に力を借りることなく己の魔力だけでね。まずそこから違うのよ。魔法詠唱って何のために必要かわかる?」


 シンメとトリーの2人に尋ねられたミカレは説明をはじめ、途中で2人に問いかけた。


「イメージと精霊へ力を借りるためのお願いよね?」


「ええ。天空人は精霊に力を借りる必要がないからお願いはいらない。イメージだけで魔法が使えるのよ。イメージなんて頭だけでぶっちゃけできるわよね? だから魔法詠唱が必要ないの」


「無詠唱……」


「ええ。私のお父さんは言っていたわ。魔法は魔力とイメージ、そして魔力コントロールだって」


「魔力コントロール?」


「イメージした魔法を魔力を使って創造してコントロールすることね。この魔力コントロールが上手く出来ないと魔法は発動しないわ。お父さんはこれが苦手だと言っていたわ」


「仕組みからして違うわね」


「私達が教わったのはイメージと精霊にお願いするための詠唱をしっかり覚えなさいってことだったわ」


 ミカレの説明を聞きいたふたりは感想と自分達が学んできた魔法との違いになるほど、といった表情を見せた。


「あとの違いはやっぱり魔力量ね。私達の、地上の一般的に優秀と言われる魔法使いを三だとしたら天空人の平均は五よ? これもお父さんから聞いた話だけど……」


「なるほど……ミカレはお父さんっ娘?」


「それは今関係ないでしょ!」


 最後の説明を聞いたシンメの返した言葉に顔を赤くして返したミカレ。


「ファザコン……」


 トリーは呟く。


「ち、違うわ……とにかく! 天空人の血がながれている私が精霊に力を借りずに魔法を使えたならもっとできたんじゃないかって思ったのよ……」


「確かに今のミカレが無詠唱になったら最強ね」


「でしょ? どうして私には使えないのかしら……」


「大好きなお父さんはなんて言っていたの?」


「お父さんはね……って違う!」


 シンメはミカレの反応を楽しんでいる。


 トリーはそれを見てクスクスと小さく笑っていた。


「……で、お父さんにもそれはわからないって言っていたわ。生まれた場所に関係してるかもとも言っていたけどね」


「そっかぁ」


「幻の天空の国ね……その『インフェルリア』は今でも空を浮いているのかしらね?」


 気を取り直してミカレが答えシンメが呟き。


 トリーが口に出した言葉のあとに、三人はゆっくりと窓から空を見上げたのであった。


 




お読み頂きありがとうございました。

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