Episode 60
アシュリーの城の部屋にはレオン、マット、ミミーの姿があった。
「アシュリーは何故、僕たちに相談もせずに決めてしまったんだ? 僕達は仲間じゃないのかい?」
「それは本当に悪いと思っています。仲間だとも思っています。だけどーー」
「なら! どうして!」
「落ち着けレオン」
興奮するレオンを宥めようとするマット。
「そうだよレオン、落ち着いて」
「マットもミミーもそう思わないのか!」
「多少はな……だが俺は反対だとは思っていない」
「私も……かな。アシュりんが決めたことなら私は反対しないわ」
反対をしているのはレオンただひとり。
「ひとりで旅なんて危ないじゃないか!」
「私には……カシとヤンが付いています」
レイと一瞬言いそうになったアシュリー。
「けど……それでも……僕は認めない」
「今のアシュリーは俺達何かより強い力を持っているんだ。だから心配するなレオン」
「だね。私達ももっとアシュりんを見習って頑張らなくちゃね」
「マット……ミミー……」
「アシュりん? 私とマット……は詳しくは聞かないよ。だってまたアシュりんは私達のところにもどってくるんでしょ?」
ミミーに視線を向けられたマットは黙って頷いた。
「もちろんよ。ありがとう……」
「僕はまだ納得していない」
「しつこい男は嫌われるわよレオン?」
「ぐっ……それでも僕は認めたくないんだ!」
どうしたものかと呆れるミミーとマット。
アシュリーは困った表情をしていた。
「あっ! そういえばアシュりんの弟君じゃなくて幼馴染みのレイフォン君は無事だった?」
ミミーはとりあえず話を変えようとアシュリーにレイフォンのことを聞いた。
「レイなら元気に私の屋敷にいるわ」
「そうなんだね。良かったわねアシュりん、レイフォン君が無事で」
「レイは死んでも死なない、そんなやつだから、ふふっ」
レイフォンのことを話すアシュリーの表情は楽しそうにしていた。
すると突如
「…………決闘だ」
と呟いたレオン。
「何を言ってるんだレオン?」
「そのアシュリーの幼馴染みのレイフォン君と僕は決闘する! それで、もしその彼が僕に勝てたらアシュリーの旅を認める」
「はっ? レオンいくらなんでもそれは滅茶苦茶な条件よ! それにレイフォン君は関係ないでしょ!」
「いいや、僕には関係があるんだよ! だから僕はその条件でしかアシュリーの旅は認めない」
レオンに認められなくてもアシュリーの旅はすでに国王に認められている。
レオンの滅茶苦茶な条件と要求にミミーは呆れて怒っていた。
「お前は勇者だろうが? バカなことを言うな! あの少年は一般人だろ」
マットも同様だった。
(まさか勇者様がレイと決闘するなんて言い出すとは思わなかった……けど……レイが関係していないって言ったら嘘になっちゃうのよね……どうしよう……だけど……)
アシュリーは苦笑いをしたまま考えていた。
そして
「わかりました勇者様。それで勇者様が納得するのならレイと決闘してください」
「「「えっ?」」」
まさかアシュリーが了承をするとは思っていないかった3人は目を丸くして驚いていたのであった。
(大丈夫よね? レイ?)
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