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Episode 58

 翌日、アシュリーは城に訪れていた。


「おお! アシュリーよ、良く来られた! 宰相からお主から提案があると聞いておる。『英雄の女神様』の提案じゃ。遠慮せずに申してみよ」


 アシュリーに話しかけたのはウェスタリア王国国王。


 アシュリーと国王以外にも宰相をはじめ大臣達にレオン、マット、ミミーの三人の姿もあった。


「ありがとうございます国王様。ではまず、私の契約した精霊竜をお見せ致します。よろしいでしょうか?」


「かまわぬ見せてみよ」


「それでは……双炎竜! カシ、ヤン現れて!」


 すると


 二体の炎のドラゴンが出現した。


 アシュリー以外は皆、目を見開き驚いていた。


「こ、これが精霊竜か……」


「はい、そうです。二体の力は強大です。それで提案とは私は一時的に勇者パーティーメンバーから抜けて、この二体のドラゴンと共にウェスタリア王国の街や村などをまわる旅に出たいと思っています」


 ドラゴン体のカシとヤンは翼を閉じて大人しく様子を伺っていた。


「アシュリー! 僕は聞いていない!」


 アシュリーの提案に一番先に反応したのは勇者レオンだった。


「申し訳ございません勇者様。しかし私はもう決めたのです。今回の魔族襲撃で私は……魔族の脅威を身をもって体感して感じました」


 レオンから国王へと視線を戻したアシュリー。


「うむ……わしもそれは感じておる……」


「もしも……カシとヤン、精霊竜の力がなかったら状況はどうなっていたかはわかりません……おそらく……」


「この王都は滅んでいたかもしれん……な」


 国王以外も同様に思っている様子で皆、表情は暗かったり険しかったりと様々。


「そして、私は精霊竜に助言を頂きました」


「助言とな?」


「はい。カシ、ヤン人間体になって貰えるかしら?」


 すると二体の体は光に包まれてみるみる小さくなり人間の姿へと変わった。


「ほう……」


 美女のカシと美少女ヤンの姿に、またも驚きと関心を見せる国王達。


「人間の国王よ、主の言う通り我は助言した」


「このままでは魔族には勝てないってな」


「ぶ、無礼だぞ貴様ら!」


 ふたりの国王へ対する言葉にひとりの大臣が声をあげた。


「無礼? 人芸風情が何を申している?」


「そうだぜ? オレ達に命令できるのは契約者の主"だけ"だ。そこのとこ間違えるなよ? 国王だろう何だろうとオレ達には関係ないんだよ?」


 ふたりの少し冷たい話し方に場は緊張で凍りついた。


「も、申し訳なかった精霊竜……様」


 怒らせたと思った国王は慌ててふたりに頭を下げた。


「オレ達って別に人間の味方ってわけじゃないからな? オレ達が味方して助けるのは主の為だけだから、そこは覚えとけよ?」


「は、はい畏まりました精霊竜様……」


 国王は額から汗をだらだらと流していた。


「ヤン、もうやめなさい。申し訳ございませんでした国王様」


 ヤンを注意して国王に頭を下げて謝るアシュリー。


「か、かまわん……」


「ありがとうございます国王様」


 再び頭を下げたアシュリーの口元はニヤリとさせていた。


(順調だわ)


 と心で思いながら。


 


お読み頂きありがとうございました。

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