表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/198

Episode 49

 ウェスタリア王国の王都での魔族襲撃から三日が経過した。


 その間、犠牲になった王都の人々の葬儀に告別式もとり行われた。



 そして王都の街ではアシュリーフィーバーが巻き起こっていた。


「アシュリー様万歳!」


「アシュリー様ありがとう!」


「ありがたやアシュリー様」


「うおー! アシュリー様!!」


 暗い空気を払拭する為にと行われたパレード。


 アシュリーは戦後、正直に魔族達を殲滅出来たのは契約した精霊竜『双炎竜』の力のお陰だと報告した。


 アシュリーは知らなかったのたが、人間が精霊と直接契約するということは実に約100年ぶりの事。


 ましてや精霊竜(上級精霊)との契約にもなると古くから残された文献にも載っていないことだった。


 そもそも精霊竜とは一体で国を滅ぼせると言われている伝説の精霊である。


 国王をはじめ、宰相、大臣と報告を聞いた城の者達は驚き、アシュリーの功績をこれでもかというほどに賞賛した。


 そして、それは王都の街の人々にも広がった。


 ウェスタリア王国の国内だけではなく、国外にもこの事実が広がるのは時間の問題だろう。



「アシュリー大丈夫かい?」


「アシュりん人気はんぱないね!」


「流石は『英雄の女神様』だな。ははは」


 すっかり回復したレオン、ミミー、マットの三人がパレードの最中に疲れた表情を見せたアシュリーに声をかけていた。


 元気に笑うマットの両腕は義手となっていた。



『英雄の女神様』とはもちろんアシュリーの事である。


 二体の炎のドラゴン『双炎竜』と契約して従わせ魔族達を殲滅させた英雄。


 見た目は美しい、まるで女神様。


 このふたつが合わさり、誰が言いはじめたのかわからないがアシュリーには『英雄の女神様』というふたつ名が付いたのであった。


(早く帰りたいわ……レイはちゃんと待ってるわよね?)


 アシュリーは三日間一度も自分の、レイが待つ屋敷には帰れていなかった。


(ていうか、私はレイにちゃんと説明されてないじゃない。あれ? もしかしてレイも私のふたつ名を……絶対にバカにしてくるわレイなら……)


 アシュリーの頭の中は帰るという事よりもレイフォンで頭がいっばいだったのである。



「お~い! アシュり~ん! カムバ~ック!」


「えっ? ミミー? ここはどこ?」


「ここは馬車の上で今はパレードの最中だよアシュりん」


 ミミーに声をかけられ我にかえるアシュリー。


「アシュリー、君は疲れてるんだよ。今日は帰ってーー」


「はい! わかりました勇者様!」


「ちょっと待ったー!」


 レオンに言われてすぐにでも帰ろうと馬車から降りようとするアシュリーをマットがとめた。


「アシュリー……帰るのはせめてパレードが終わってからにしてくれ」


「マットの言う通りだよアシュりん。アシュりんが疲れてて自分の家でゆっくりしたい気持ちはわかるんだけどね」


「あっ、うん……ごめんなさい」


 早く帰りたい理由はレイフォンに早く会いたいからとは言えない、恥ずかしそうに謝るアシュリーであった。




お読み頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ