表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/198

Episode 48

 王都の中心地からは少し離れた場所にある小さな屋敷。


「ここは私の屋敷よ」


 勇者パーティメンバーは城の部屋とは別に各人、王都に家を貰っていた。


「つかアシュは勇者達の所とかに戻らなくていいのか? 魔族は倒されたんだ。アシュは勇者パーティメンバーなんだろう? 報告とかもあるだろうに?」


「そうだけど……」


 確かに仲間の三人の事も心配だった。


 だけど、今を逃したらレイフォンと話が出来ないような気がしていたアシュリー。


「なら、レイはここで、この屋敷で待っててくれる?」


「わかった」


「本当? もしかしたら二、三日は帰ってこれないかもしれないけど?」


「わかった」


「……絶対だからね! なら私は少し勇者様達の所や報告に行ってくるわ。はい、これをレイに渡しておくわ」


 アシュリーが手渡したのは屋敷の合鍵。


「か、勘違いしないでよねレイ? 今日中には帰ってこれそうにないからなんだからね? あと、屋敷では好きに過ごしてもらっていいけど、私の部屋には絶対に入らないでよね! 入ったら殺すわよ?」


 照れた表情のツンデレ化したアシュリー。


 いや、デレはなかった。


「最後の言葉は物騒だな……大丈夫だから早く行って来いよ?」


「うん……なら、いってきます……レイ」


「いってらアシュ」


 魔族殲滅はい終了……と簡単に済むはずがなく、勇者達仲間の事に、報告に戦後処理とアシュリーにはやらなければいけない事が残っていた。


 アシュリーはすぐに屋敷を出ていった。


 残された四人。


「お前達はアシュリーに付いていかなくて良かったのか?」


 レイフォンが声をかけたのは炎竜姉妹のふたり。


「はい。我々はここで主を待ちますレイフォン"様"」


「そっか」


「ほら! やっぱりレイフォンが関係してたんじゃないか!」


「なんの事だ?」


 カシのレイフォン様との言葉を聞き、レイフォンに問いただす神様。


 だが、レイフォンはしらばっくれる。


「いや、しらばっくれても無理だからね? で、どういう関係なのさ? それとやっぱりアシュリーと『双炎竜』を契約させるように仕組んだのは君だねレイフォン?」


 左手を腰におき、右手人さし指をレイフォンに突きだし向ける名探偵気取りの幼女神様。


「そうだけど? それが何か?」


「ふふふ……ついに認めたな真犯人!」


「なんのだよ?」


「まさか……レイフォン様が……真犯人だなんて!?」


「神様に乗るなよ……え~っと、今は確かヤンだっけ?」


「そうです。レイフォン様!」


 ノリノリの神様とそれに乗り大袈裟なリアクションを見せたヤン。


 レイフォンは呆れていた。


「まっあれだ。ちょっと昔こいつらと一緒にいる時期があったんだよ。それで久しぶりにこいつらに連絡してアシュの力になってくれるようにお願いしたわけだ」


「普通は精霊竜にお願いできる人間なんて居ないんだけどね? それに昔って、レイフォン今十四歳だよね?」


「レイフォン様は……普通の人間とは違いますから……」


「だな! あの頃はちょうど今の神様ぐらいだったよなレイフォン様は……」


 神様に答える炎竜姉妹のふたりは懐かしむような表情をしていた。


 今の神様の人間体の見た目は4、5歳ぐらいである。


「ボクは神様だから。深くは聞かないけどレイフォンはやっぱりおかしいよ絶対に」


「神様には言われたくないけどな……とにかくだ。アシュには神様が力を与えたみたいな事にしとく予定だから」


「へっ?」


「だってまた説明とか面倒だろ? それにその方がアシュも信じやすいと思うしな……」


「まったく……レイフォンは秘密や隠し事が多いんだから……けどわかったよ、いいよ」


「ありがとう神様」


 一瞬見せた切ない表情の後に笑顔を見せて素直に礼を述べるレイフォン。


 それを見た神様は、レイフォンにはまだ何か秘密があると感じていたのだった。


(君は何者なんだい……レイフォン……)


 


お読み頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ