Episode 47
「やあ、『双炎竜』のふたり。久しぶりだね」
「御無沙汰しております神様」
「おっ、神様久しぶり!」
挨拶を交わす神様と炎竜姉妹のふたり。
「えっ? 三人は知り合いなんですか?」
「200年前ぐらいにね。ちょっとね」
「200年前……ですか?」
「ボクや精霊達には寿命なんてないからね」
「精霊?」
首を傾げるアシュリー。
神様とアシュリーのやり取りの間にレイフォンはカシに目で言葉を送った。
カシはそれに黙って頷いた。
「主にはまだ説明していなかったな。我ら姉妹は精霊竜と呼ばれる精霊なのだ」
「精霊竜?」
はじめて聞いたカシの精霊竜との言葉にアシュリーはまた首を傾げた。
「とにかくオレと姉貴は精霊ってことだ主。それよりレイーーモガモガ!?」
慌ててヤンの口を塞いだカシ。
「ヤンは疲れているだろう? 少し"黙って"休んでいたらどうだ?」
カシとレイフォンを交互に見たあとにヤンは理解したようにうんうんと頷いた。
「どうしたの? カシ? ヤン?」
「何でもない主。なあ? ヤン?」
「お、おう……何でもないぜ主」
「そう?」
不思議そうな表情のアシュリー。
「そ、そうだ主? その人間を我らに紹介してくれないか?」
「あっ! そうね。レイとふたりは"初対面"なのよね」
「う、うむ」
神様はじとーっとした目でカシとレイフォンを黙って観察するように見ていた。
(たぶん初対面じゃないよね……)
「へぇー! 精霊竜って言うのか? 人間にしか見えないけどな? 俺はレイフォン。よろしくな」
「は、はい……じゃなくて、うむ……我らは今は人間体化しているが精霊竜『双炎竜』の姉妹で我が姉のカシ」
「オレが妹のヤン……です」
「そうなのか。よろしくなカシとヤン」
「うん?」
「どうしたアシュ?」
「なんだか違和感を感じるのよね……」
「気のせいだろ?」
「う~ん……まっそう、よね?」
三人のやり取りに違和感を感じたアシュリーだが、今は気にすることをやめたようだ。
(間違いなくなにかあるね……)
神様は三人の関係に何かを確信して感じた様子だった。
「遅くなったけどカシとヤン魔族の殲滅、お疲れ様。そして、本当にありがとう」
アシュリーはふたりに頭を下げた。
「気にするな主よ」
「そうだぜ主。それに魔族のボスは誰かが倒したみたいだしな」
ヤンはレゾナスの遺体をチラっと見た。
「そうよ! そうだったわ! 説明しなさいレイ!」
「えっ? 神様の説明で納得したんじゃないのかよ? つか何をだよ?」
思い出したかのようにレイフォンに振り返り詰め寄るアシュリー。
「途中でレイフォンと神様が言い合いみたいになってうやむやになってたじゃない? レイが強くなったのはわかったわ。だけど、それだけなのよ。どうやってレイは魔族を倒したのよ?」
「そうだっけ? つか言わなかったか?」
「確かに、レイフォンがボクを"いじめ"てて話が途中だった気もするよ」
「神様の言う通りよレイ。それに、私はレイの口からちゃんと説明してほしいのよ……」
「はぁー …………わかった……けど、そろそろ場所を変えないか?」
太陽が昇りきり、辺りは完全に明るくなっていた。
「そうね……」
ひとまず場所を移すことにした五人であった。
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