Episode 46
「お、お願いだよアシュリー? ボクをそんな目で見ないでおくれよ? レイフォンの言っていることは違うんだよ! 嘘なんだ!」
アシュリーは一歩下がり神様を疑った目でみていた。
「そ、そうだ! ボクの本当の姿に近い人間体になった姿を見せるから、ねっ? それな疑いははれるはずだよね」
そして、神様の体が光に包まれる。
だがーー
「あれ? なんで? なれないの?」
人間体に変われない神様。
「……神様……俺、思うんだよ。神様が嘘をつくのはどうかと?」
「ち、違うんだよアシュリー? ちょっと調子が悪くてだね……」
言い訳にしか聞こえない神様の言葉。
それに対して疑いの目を深くさせたアシュリーに神様は焦っていた。
(おかしいな……人間体になるだけの神力は戻ってるはずなんだけど……まさか!)
「レイフォン! 君がボクが人間体になるのを妨害してるね!」
神様は気づいた。
「俺が? 神様を妨害? 神様にそんなことができるわけないだろ? 人間のこの俺が?」
とぼけるレイフォン。
「いや! レイフォン、君が絶対にボクに何かをしたに決まってるよ、グルルル!」
前傾姿勢の神様に対してレイフォンは鼻で笑って見せた。
「証拠は?」
「しょ、証拠?」
「そうだ、俺が妨害したってし ょ う こ だよ神様?」
「レ、レイ? よくわからないんだけど、そろそろいいんじゃないのかしら?」
神様が少し可愛そうに思えたアシュリーは仲裁にはいろうとした。
「アシュリー!」
そんなアシュリーに目を輝かせて近づこうとする神様。
だが
「あっ、近づかないでもらえますか神様?」
アシュリーの中にある、神様のエロ爺さん疑惑の疑いははれていなかった。
「そんなぁ……」
しゅんとする神様。
「ぷっ……はははは!」
突然、笑いだしたレイフォン。
「レイ?」
「悪いアシュ、神様が調子に乗るからちょっとお仕置きのつもりだったんだけど……」
神様に視線を向けるレイフォン。
「……ボクは無実だ……冤罪だ……ボクは……ボクは……」
アシュリーに拒絶されたことがショックだったのか、丸く小さくなりぶつぶつと呟いている神様の姿。
「そろそろ許してやるか」
「はっ? 許す? じゃあ神様は……」
「いや、けど俺も神様の本当の姿はしらないから、もしかしたら本当にーー」
「ちゃうもん! 変なことなんて思ってなかったもん! それにお爺さんちゃうもん! レイフォンのバーカ! いじめっ子! ドS!」
鼻水を滴ながら泣いてレイフォンに文句を言う神様。
「泣く事はないだろ神様?」
「だっでぐやじがっだんだもん……グスッ」
「ほら、まだ疑いははれてないんだから人間体だっけ? になるならなってみろよ?」
「ぼうがいじない?」
「しないから」
「ほんど? グズッ、妨害したらえんがちょっだからね!」
「はいはい」
鼻水をズルズルとすすったあと、神様の体は再び光に包まれた。
そして、みるみると人間の姿へと変化していく神様。
光が消えると
「どうだい! これがボクの本当の姿なんだよ? どう? 驚いた?」
さっきまで犬の姿で泣いていた神様は人間体となり胸を張ってそう言い放った。
「子供?」
神様の人間体となった姿を見て呟いたアシュリー。
人間体となった神様の姿は幼い少女であった。
「か、神様はメスだったのか?」
少しだけ驚きを見せたレイフォン。
「レイフォン? メスってレディーに失礼じゃないかな?」
「レディー、ね……」
(レディーというか幼女じゃないか)
その時、離れた場所から声が聞こえてきた。
「お~い! 主~! 終わったぜ!」
そこにはカシとヤンの炎竜姉妹ふたりの姿があった。
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