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Episode 44

 もともと身長が高かったレゾナスの身長は三メートルを超え、細身だった体も筋肉のかたまりのようになり、頭に生えていた魔族特有の角(レゾナスは二本)も長く延びていた。


「この姿になったのは100年ぶりだな……まさか、この私が本気を見せることになるとはな……光栄に思え人間」


 姿が変化したレゾナスは落ち着いた表情と口調でレイフォンに視線を向けて話しかけた。


 レゾナスの体からは黒い魔力が溢れだしている。


「な、何この魔力!?」


 アシュリーは驚いたあとに緊張の表情を見せた。


「さあ! かかってーー」


 かかってこいとレゾナスはレイフォンに言うつもりだったのだろう。


 しかし


 直後、レゾナスは白目を向いて倒れた。


 いや、死んだのである。


「うわっ! 気持ち悪っ!」


 レイフォンは手に持って握り潰した何かをポイっと捨てた。


「な、何が起こったの? その魔族はどうしていきなり倒れたのよ?」


『レ、レイフォン……その倒し方はどうかとボクは思うんだよね……』


 アシュリーの表情は呆気にとられていた。



 レイフォンがレゾナスを倒した方法……


 それは


 レゾナスの心臓だけを魔法で手元に転移させて握り潰すといったものだった。


「アシュ? ほらな?」


 レイフォンは「言った通りに倒した」とアシュリーに言ってるつもりなのだが……


「はっ? 何がほらなのよ? 魔族はどうして倒れてるのよ? レイが何かをしたの? 私にわかるように説明しなさいよ今すぐに!」


 伝わるはずがなかった。


「えっ? 俺はあいつの心臓を潰した。そしてあいつは死んだ。簡単でわかりやすいだろ?」


 遺体となったレゾナスを指さし説明するレイフォン。


「わかったわ……とでも私が言うと思ってるのレイは? そんな説明で「はい、わかりました」なんて誰が言うのよバカ!」


「いや……事実だし……」


 信じてくれないアシュリーに困ったなという表情を見せて頭をかくレイフォン。


「それに死んだ? あのわけのわからない一瞬で倒した? どう考えてもあの魔族はそんな簡単に倒されるようなやつじゃなかったわ。神様じゃないんだから」


「アシュは神様を見たら信じてくれるか?」


「はっ? 納得は出来ないかもだけど、多少なら信じるかもしれないわね……たぶんね」


(何を言ってるのよレイも私も)


 状況に頭が追いついていけていないアシュリー。


「わかった……いでよ! 神様!」


 突然両手を上げたレイフォンにアシュリーは


(もしかしてレイって……頭がおかしくなった?)


 などと思っていた。


『えっ!? ボク?』


『だって説明がめんどい。だから神様頼む』


 悩む神様。


『仕方ないな……特別だからね?』


『ありがとう神様』



 そしてーー


 アシュリーの前に姿を現した見せた、子犬の姿の神様。


「はじめましてアシュリー。ボクが神様だよ」


「ほらな?」


「か、か……」


 神様を見たアシュリーは顔を俯かせ肩を震わせている。


「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ? ボクは親しみやすい神様なんだからね」


 だがーー


 アシュリーの震えは緊張などではなかった。


「か……可愛い!!」


 そう言って神様に抱きつくアシュリー。


「何よ、この可愛い子犬は? レイ?」


 神様をギュッと抱き締めて嬉しそうに尋ねるアシュリー。


「えっ? だから神様だーー」


「はっ? こんな可愛い子犬が神様なわけないじゃない? バカなのレイは? ほ~ら、よしよし」


「いやいや。アシュは神様が喋ってたとこ見たよな?」


「はっ? 神様? 子犬が喋るわけないじゃない? 頭大丈夫?」


 確かに神様は話した。


 しかし、アシュリーは聞いていなかった。


「おい! 神様も……って、おい!」


 アシュリーに優しく撫でられ気持ち良さそうに目を瞑る神様は


「クゥ~ン!」


 と可愛らしく吠えたのであった。



お読み頂きありがとうございました。



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