表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/198

Episode 42

 突然とレイフォンとアシュリーふたりの前に姿を現した魔族の将軍レゾナス。


 ふたり以外の人々はレゾナスが現れ見た瞬間に恐怖の顔を見せて逃げ散っていった。


 王都の街の人達には魔族や魔人という存在はもう、十二分に恐怖の対象として認識付いているのであろう。


 この場所に残ったのはふたりと一体。


「レイも早く逃げて!」


 レイフォンを背中に隠すようにレゾナスの前に立つアシュリー。


「いや、けど……」


「早く! この魔族はやばいの! 殺されちゃうわよ! だから早く逃げて! お願いレイ!」


 必死な表情を見せるアシュリー。


 アシュリーはレゾナスの異様な魔力を感じていた。


『ぷっ、少女に守られてるよレイフォンったら……ぷぷのぷー』


 場の空気には似合わない言葉でレイフォンに話しかけた、いまだに人間体になれなかった事を根にもつ神様。


 当然、レイフォンは神様はスルーする。


「お前は、アシュは大丈夫なのか?」


「私は神様のお導きに選ばれた勇者パーティーメンバーのひとりよ……余裕に決まってるじゃない!」


 明らかに嘘であるが、アシュリーは強がっていた。


 わずかだが足が震えている。


「くだらん話はいい。人間の女? ベノムを、私の部下達を殺したのは貴様か?」


「そうだと言ったら、どうするの?」


 ベノムなんて名前は知らない。


「炎のドラゴンを出現させたのも貴様か?」


「だとしたら?」


 レゾナスに対して挑発気味に話すアシュリー。


(レイ早く、今のうちに逃げて……)


 自分はどうなったっていい……だけどレイフォンだけは助けたいと思うアシュリー。


「それでそのドラゴンはどうした?」


「今頃、貴方の部下か仲間かは知らないけど魔族達を殲滅し終わる頃じゃないかしら?」


「そうか……」


 レゾナスは考えるように目を瞑った。


 その瞬間にアシュリーはうしろを振り返りレイフォンに声をかける。


「今のうちに早くレイ! 逃げて!」


 だが


「えっ? 嫌だけど?」


 と答えたレイフォン。


「何でよ! 死にたいのバカ!」


 緊張感のひとかけらさえない。


(カシもヤンも居ないのよ……このままじゃレイまで殺されちゃうじゃない……あの魔族は本当にやばいのよ)


「なあ? アシュ? 俺さ……前に神様に会ったって言ったよな?」


「な、何をいきなり言ってるのよ! こんな状況で!」


「いいから、いいから。ま、俺の話を聞けよ。で、その時は覚えてなかったんだけどさ……俺な、神様に叶えて貰った願い事を思い出したんだよ」


「はっ? って、ちょっとレイ!」


 レイフォンは話しながらゆっくりと歩きアシュリーの前に出た。


 レイフォンの目の前には目を瞑るレゾナスの姿。


「なんだ? 貴様は?」


 目を開けたレゾナスがレイフォンに話しかけた。


「でな? その神様に叶えて貰ったってのはだなーー」


「人間、私を無視するな!」


 レゾナスの言葉をスルーして、振り返りながらアシュリーに話し続けるレイフォン。


 機嫌の悪いレゾナスはそんなレイフォンに腹が立ち鋭い爪の生えた右腕を振り上げた。


 そして


「レイ!!」


 レゾナスの鋭い爪がレイフォンを捉えて振りかざされた。


 叫ぶアシュリー。


 だが、レイフォンの表情は変わらない。


「死ね!」


 アシュリーはとっさに目を瞑ってしまった。


 …………


「人がまだ話してる途中だろ?」


 のんびりしたレイフォンの声か聞こえ、アシュリーはゆっくりと目を開いた。


「なっ!?」


「えっ!?」


 驚くレゾナスにアシュリー。


 レイフォンは二本の指だけでレゾナスの鋭い爪を止めていた。


「貴様なにを、って、なっ!?」


 再び驚くレゾナス。


 レイフォンに指で止めれている爪を抜こうとするがびくともしないのだ。


「まったく……話が進まないじゃないか?」


『空気を読もうよレイフォン?』


 神様、お前には言われたくない、そう思うレイフォン。


「レ、レイ?」


「え~っと、どこまで話したっけ?」


 驚愕するアシュリーに対して普通に話そうとするレゾナスの爪を受け止めたままのレイフォンであった。




お読み頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ