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Episode 39

「契約? 主?」


『主よ? それよりも先に魔族どもを殲滅するのが先ではないのか?』


「そ、そうね……」


『だったらオレからいかせてもらうぜ!』


 混乱が抜けきれないアシュリーだが、とりあえずは魔族達を何とかしないとと炎のドラゴン、双炎竜の言葉に頷いた。


 そして、やんちゃそうに見える双炎竜の一体が意気揚々と大きく息を吸い込んだ。


『燃えろや魔族ども!』


「ちょっと!?」


『大丈夫だ主』


 この場所には倒れた仲間達もいる。


 それを心配したアシュリーだが、賢そうなもう一体が心配ないと声をかけた。


「「「ぐわぁー!」」」


 口から吐き出される灼熱の炎。


 魔族達は瞬く間に消し炭となっていった。


『ふぅー、ってあれ? もう一体残ってるじゃねぇか?』


『マヌケが……』


『うるせー!』


 なんとか炎をかわしていたベノム。


「くっ……これはいったいどういう事ですか……ドラゴンだとーー」


『それは、貴様が知る必要はない』


 ザシュッ


「へっ?」


 呟いたベノムは背後に突然現れた双炎竜の一体により頭から三つに爪で裂かれた。


『雑魚が……』


 死体となったベノムを見て小さく呟く双炎竜。


 ーー


 アシュリーは何が起こったのかわからなかった。


「勇者様……みんなは……?」


『大丈夫だ主よ』


 意識を失ってる仲間達を確認してひとまず安堵の表情を見せたアシュリー。


「ありがとう……名前は……」


『礼などいらぬ。名は主が決めてくれ』


「なら、貴方がカシで貴方がヤンで良いかしら?」


『わかった。我は今日からカシである』


『オレがヤンだな』


 賢そうだから「カシ」、やんちゃそうだから「ヤン」。


 なんとも安易な名前である。


「それでカシ、ヤン……」


『わかっている、主』


『他にも魔族達がいるんだよな?』


「ええ……」


 カシとヤンの二体に申し訳なさそうな表情を見せるアシュリー。


『主はしばしこちらで待たれよ』


『オレ達"姉妹"が魔族達なんてやっつけてやんよ!』


「えっ!? 姉妹?」


『そうだぜ? ほら』


 ヤンの言葉のあと二体の双炎竜の体が光に包まれる。


 するとみるみると二体の体が小さくなっていき、やがて人間の姿へと変わった。


 賢そうな長身美女のカシ。


 やんちゃそうにはにかむ小柄な美少女のヤン。


「!?」


「なっ?」


 驚きを見せるアシュリーに対して楽しそうな表情で頭に話しかけるのではなく口を開き直接話しかけたヤン。


「ふむ。竜体の姿ではちと人間には驚かせてしまうかもしれぬから、この姿で魔族どもを殲滅しにいくとしよう」


「そうだな!」


 すぐに魔族達のいる場所に向かおうとするカシとヤンを呼び止めるアシュリー。


「ちょっと待って!」


「主よ? 話はまたあとでもかまわないだろうか?」


「……そうね……引き留めてごめんなさい」


「気にするなって主。ならオレ達は行ってくるぜ!」


「……気をつけてね」


「うむ」


「まかせとけって! ちゃっちゃっと終わらせてくるぜ!」


 そして、人間の姿となった双炎竜ふたりの姉妹はアシュリーの目の前から姿を消したのであった。



 ーーーー



『まさか……精霊竜の『双炎竜』と契約してしまうとは予想外だよ……』


『……だな』


『もしかしてのもしかしてだけどレイフォンが何かをした? とかじゃないよね?』


『俺は精霊竜も双炎竜なんて言葉もしらない』


『なら、どうして頷いたのさ?』


『……なんとなく』


 神様はレイフォンがアシュリーに何かをしたと疑っていた。


『とにかくだ……個人情報保護法に基づき俺はこれ以上は何も話さないからな』


『……この国というか、この世界にはそんな法律はないからね?』


 異世界知識で覚えた言葉を使いはぐらかすレイフォンに神様は呆れていた。


 だが、確信した。


 レイフォンが何かをしたのだと。


『まっ、今はいいや……そう言えば今のボクなら人間体になれるんだけどレイフォン見たい? べ、別に見せたいとかじゃないんだからね? レイフォンがどうしてもって言うなら見せてあげてもいいんだからね?』


『いや、いい。興味ない』


 少しだけ神力が回復してきているツンデレ神様の言葉に即答でバッサリと答えるレイフォンであった。




お読み頂きありがとうございました。

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