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Episode 38

 勇者レオンは今出せる全力の力でベノムに挑んで戦った。


 だが、状況は最悪だった。


「レオン!」


「お前も勇者のあとに殺してやるから大人しくして見ていろ」


「離して! 離してよ!」


 魔族に地面に押さえつけられているミミー。


「うるさい人間だ」


「がはっ!」


 地面に頭を叩きつけられたミミーは意識を手放した。


「ミミー……」


 それを見て小さく声を漏らすレオン。


「この状況でお仲間の心配ですか? 勇者"様"はお優しいですね」


「ぐっ……」


 楽しそうにレオンに声をかけるベノム。


 レオンは地面に倒れ、ベノムに頭を踏みつけられていた。


(どうして……どうして勝てないんだ……)


 レオンは神様の力も出し惜しみせずに使い戦った。


(僕は……勇者なのに……)


 だが、ベノムにはまったく通用しなかったレオンの力。


(何が神様の力だ……何が神様に導かれて選ばれた勇者だ……)


 悔しそうに唇を噛み締めるレオン。


 口から流れる血。


(アシュリーお願いだ。来ないでくれ……逃げてくれ……)


 諦めてしまったのかのようなレオン。


 レオンは一目惚れし好意を抱く少女アシュリーの安全の事だけを考え願っていた。


 しかし、そんなレオンの願いも虚しく聞こえてきた声。


「勇者様! ミミー! マット!」


 意識が遠退くなか聞こえてきた想い人アシュリーの声。


(どうして……君はこの場所に来てしまったんだ……)


 レオンには言葉を口にする気力はもう残っていなかった。



「おや? まだ、お仲間がいたんですね?」


 アシュリーの姿を確認して口元をニヤリとさせたベノム。


「貴方が……貴方達がみんなを……」


 ボロボロの姿の三人の姿を見たアシュリーの肩は震えていた。


「そうですよ? 今からとどめをさして殺して差し上げるところなんです。貴女はどのようにお仲間が殺されるのがお望みですか? これは特別ですよ? 貴方のお望み通りに殺して差し上げますよ」


 楽しそうにアシュリーに話しかけるベノム。


 他の魔族達はそれを聞いてニヤニヤとした表情を見せる。


(逃げてくれ……アシュリー……)


 心の中でそう願うレオン。


「ーーさない」


「何かおっしゃいましたか?」


「私は貴方達を……魔族を絶対に許さない!」


 倒されている勇者パーティメンバーだけではなく、殺された人々の事も思い、大きく肩を震わせてベノムに怒りの籠った鋭い視線をおくったアシュリー。


 そして、アシュリーの体からは炎のような赤い魔力が溢れだす。


「ほう……」


 感心するような表情を浮かべるレオンを踏みつけたままのベノム。


(レイ……お願い……レイの力を私に貸して)


 アシュリーはレイフォンに貰った赤いペンダントを握りしめて目を瞑った。


 すると怒りの感情は残るものの、気持ちが少し冷静となっいく事がわかるアシュリー。


 そして


「……この者達を……魔族を焼き尽くせ……双炎竜」


 アシュリーの知らない魔法。


 アシュリーの頭の中に自然と浮かんできたイメージと魔法の名前。


 目を開き両手を前にかざして、その魔法の名前を詠唱なしで口にしたアシュリー。


 すると


「な、なんだこれは!?」


 余裕の表情から一転し驚きの表情へと変わるベノム。


 アシュリーが魔法の名前を口にした直後に出現したのは、大きく翼を広げる二体の炎のドラゴン。


『主よ、契約は成立した』


『ひさしぶりの地上だぜ。よろしくな主』


 ベノム達魔族も驚いているが、出現させたアシュリー自信も頭に直接話しかけてくる二体の炎のドラゴンに驚き、戸惑っていたのだった。




お読み頂きありがとうございました。

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