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Episode 33

 ウェスタリア王国の王都に攻めこんで来たのは、第九魔王軍将軍レゾナス率いる魔族達。


 魔族の数はおよそ五十体。


 魔人(魔人化させられた人間)の数はおよそ百体。


 レゾナスの人間魔人化実験は完全に成功していた。


「さあ、楽しい楽しい殺戮ショーの開演だ!」


 一斉に王都の街になだれ込む魔人達。


「「「「人間殺す、人間喰う……」」」」


 完全体となった魔人達は次々と人々を襲いはじめている。


「助けてくれ!」


「誰か!」


「ひぃー!」


「ぐわぁー!!」


 街の人々の助けを求める声や悲鳴。


「なんて! なんて理想的なのだ! 人間であった魔人が人間を襲って殺す……ああ、素晴らしい!」


 魔人が人間を襲い殺す様子を眺めるレゾナスの機嫌はとても良かった。


「レゾナス様、そろそろ我々も」


「そうだな。行ってこい」


「はっ!」


 レゾナスの許可がおり、およそ五十体の魔族も王都襲撃に加わる。


「さて、私はここでこの人間の街が滅びていく様子を見学するとしようではないか」


 レゾナスは高みの見物決めこんだのだった。



 ーーーー



「何なんなだよ! この魔人の数は、っと!」


「くっ、それに大人の魔人なのか固い、やっ!」


「勇者様! あっちからは魔族がやって来ます!」


「うわー、これちょっとやばくない?」


 勇者パーティメンバー達は魔人達と交戦していた。


 そして、アシュリーが指さす先には魔族達の姿。


「「「人間殺す、人間喰う……」」」


 何とか魔人達を倒していく勇者パーティメンバー達。


 だが、余裕はまったくない。


「僕達は魔人だけでも精一杯だって言うのに……魔族まで……」


「くそっ!」


「私が……私がこの場所の魔人を何とかしますから勇者様達は他の場所に向かってください」


「しかし……」


 突然のアシュリーの提案にレオンはためらう。


「私がアシュりんと残るからレオン達は行って! ここだけじゃないのよ!」


「そうだな……わかった。ほらっレオン行くぞ! ミミーの言う通り魔人が居るのはこの場所だけじゃないんだ! 魔族だって現れてるんだ!」


「だけど……」


「しかしでもだけどでもない! 仲間を信じろ!」


 マットの言葉にアシュリーとミミーは頷いた。


「……わかった。けど、無理だけはしないでくれ」


「はい!」


「わかってるっわ! 早く行きなさいよ」


 そして、レオンはマットと共に別の場所へと移動した。



 ーー



 残されたアシュリーとミミー。


 この場所に居る魔人の数はおよそ三十体。


「ミミー……あれを使うわ」


「えっ? アシュりん大丈夫なの?」


「ええ、大丈夫よ」


 あれとはアシュリーが王都に来てから覚えた上級魔法である。


「十秒だけ時間を頂戴?」


「わかったわ」


 アシュリーは集中する為に息を大きく吸い


 そして、ゆっくりと吐く。


 その間、ミミーは魔人達がアシュリーに近づかないようになんとか抑えていた。


「……火の精霊達よ、汝達の力を我に貸し与えたまえして、我の敵達を焼きつくさん事を求める、対価は我のーーなり、炎突風!」


 アシュリーが詠唱を唱えると


「「「人間殺ーーーー」」」


 炎を纏った強い風が突風となり瞬く間に魔人達を飲み込んでいった。


「す、凄い……」


 さっきまで四人でも精一杯だった魔人達を一瞬にして飲み込み焼き尽くしたアシュリーの魔法。


 それを見たミミーは驚愕の表情を浮かべて呟いたのだった。


 


お読み頂きありがとうございました。

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