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Episode 32

 酒場のカウンターに座るレイフォンとアシュリーのふたり。


「レイは私に他に言う事はないの?」


「へっ? ひさし、ぶり?」


「違う!」


「な、何だよ?」


「その……私に会いに来たとか……あるじゃない……」


 声を張ったと思ったら、次は呟くように小さく話だしたアシュリー。


「…………アシュに会いに来た」


 真顔のレイフォン。


「遅い! それに思ってなかったでしょ!」


「いだいでず」


 間を空けて言われた通りに言葉にしたレイフォンだがアシュリーに両頬を引っ張られて痛そうにしている。


「暴力反対。つかアシュがまさか王都にまだ居るとは思わなかったんだよ」


「それにしては驚いてなかったじゃないレイは?」


「いや、驚いたって」


「本当かしら……まあ、いいわ。けどまさかこんなに早くにレイに再会するとは思わなかったわ」


「だな」


「……旅をしてるって言ってたけど順調?」


「まあ、なんとかな」


「そっか……私は……どうだろう……」


 少し暗い表情を見せるアシュリー。


「アシュは順調じゃないのか?」


「……うん。魔王討伐……魔族の国がある北の地域に向かう目処もまだたっていないし、ここ最近現れる魔族や魔人達が思っていたよりも強くてそれに……沢山の人達が犠牲になって……もっと私が強く……」


「ていっ!」


「痛っ!」


 レイフォンはアシュリーの額にデコピンした。


「アシュは頑張ってるよ」


「えっ?」


「つか、頑張ってないアシュなんて想像出来ないしな俺は。それに頑張らないのは俺の役目だし」


「……何よ、それ。ふふっ」


 レイフォンの自分のダメ男発言にアシュリーは小さく笑った。


「ほら、やっぱりアシュは笑ってる顔の方が似合ってる。あと、怒ってる顔もな」


「うん……けどね……あとが余計よレイ?」


「いやいや、ただ笑ってるだけのアシュとか想像しただけで怖いからな?」


「誰が怖いですって?」


「冗談です。ごめんなさいアシュリー様」


 笑ってないアシュリーの目を見て、即座に謝るレイフォン。



(私の目の前にレイがいる。数年間は会えないと覚悟していたのに……それにレイはまったく変わってない)


 アシュリーはレイフォンとの再会が本当に嬉しかった。



 そんな再会に浸っていた時だったーー



「ま、魔族が王都に攻めてきた!」


 ひとりの男性が酒場に駆け込みそう言った。


「魔族!? こんなタイミングでか!?」


「は、早く逃げよう!」


 騒ぎだす酒場の客達。



「レイ……私行ってくるわ」


「魔族? ん? ……ああ。頑張れよアシュ」


 目を鋭くさせ真剣な表情で立ち上がったアシュリーは頷いたあとに、同じく立ち上がり真剣な表情の勇者パーティメンバー達と共に酒場を素早く出ていった。





『ついに王都にまで魔族が現れたみたいだね』


『だな。って神様はどこに行ってたんだよ?』


『ボクは空気を読める神様だからね』


『はっ?』


『とにかくだ。レイフォンはどうするんだい? 魔族の数は思ったよりも多そうだけど? あと魔人も』


『またあれか…… けどどうするかは状況しだいだな? 勇者達もいるんだし』


『まっ、そうだね』


 レイフォンはとりあえずは今の状況を傍観することにしたのであった。


 


お読み頂きありがとうございました。

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