Episode 30
「アシュりんって気になる男性とかっているの?」
「えっ?」
食事中になんとく発言したミミーの言葉に少し驚いた表情を見せたアシュリーとビクッと肩を震わせて反応するレオン。
「ほら、アシュリーの暮らしてた街とかさ? どこだっけ? 確かテスターの街?」
「合ってるわミミー。気になる男性か……気になるの男性と言うか……何て言ったらいいのかしら? どうしようもなくて何も出来ない"弟"ーー」
「アシュりんって弟がいたのね?」
アシュリーは弟みたいな、と言おうとしたのだがミミーに言葉をさえぎられてしまった。
「えっ? ……うん」
まっいいかと思ったアシュリーと弟と聞いてあからさまに安堵の表情を見せたレオン。
「レオン、表情に表れすぎだ」
「だ、だって……」
マットに小さな声で注意されるレオン。
(レイは今頃は何をしているのだろう……ちゃんとごはんを食べてるかしら? 仕事は大丈夫かしら? まさか病気なんて……)
「アシュりん? アシュりん?」
「えっ?」
「なんか、ぼーっとしてたよ? 大丈夫?」
「少し"弟"の事を考えていただけよ」
「そっか」
本当は弟ではなく幼馴染みで自分の好きな人とは言えないアシュリーであった。
ーーーー
『やっと着いたねレイフォン』
『だな』
ベロアの街を出てからもいつくかの街をまわり旅を続けていたレイフォンと神様は王都に到着していた。
『レイフォンが魔法を使えばもっと早くに到着したとボクは思うんだよね』
『それじゃ旅とは言わないだろ?』
『確かにね』
夜の王都の町並みを見渡すレイフォン
「それにしても今までの街とは全然違うな」
『王都だからね』
それから、しばらく王都の街を歩いていると
「おっ、腹も減ったしここで食べるかな」
そこはとある酒場。
『レイフォン、お酒は十六歳になってからだよ?』
『知ってるよ、そんな事くらい』
そう言ってレイフォンは酒場の中へと入っていった。
ーー
「あの、すみません。食事だけなんですけど大丈夫ですか?」
「おう! かまわないぜ。カウンターの席に座りな」
「ありがとうございます」
レイフォンが店員にお礼を述べてカウンターの席に向かう途中だった。
「それで、弟君はどんな感じなの? やっぱりイケメンなの?」
「う~ん。どうだろ? ずっと一緒だったからその辺はーーって、えっ!?」
テーブル席に座る四人の男女。
そのなかのひとりの少女とレイフォンは目が合い、少女は目を見開き驚いていた。
「どうしたの? う~ん? ……って、あらイケメンな少年」
話していたもうひとりの少女が驚いている少女の目線を追ってレイフォンに気がついた。
「ようアシュ。久しぶり」
普通に手をあげて挨拶をするレイフォン。
レイフォンからは驚いた様子は見られない。
「な、な、なんで、どうしてレイがここにいるのよ!!」
それに対して立ち上がり大声をあげる少女、アシュリー。
約三ヶ月ぶりのふたりの再会である。
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