Episode 25
レイフォンはアイラにテスターの街の素晴らしさを話し聞かせていた。
「ーーなっ? だからお前達姉妹はテスターの街で暮らせばいいんだよ。俺は今は旅の途中でしばらく帰らないけど、家は自由に使ってくれてかまわない。確か、空き部屋があったと思うからそこをお前達の部屋にすればいい。俺が帰ってもそのまま住んでもらっても構わない」
「……どうしてレイフォンさんはそこまで私達にしてくれるんですか? 他人ですよよ?」
「なんとなく、じゃ駄目か?」
レイフォンは深くは考えてはいなかった。
ただ、それがいいんじゃないかと思っただけだった。
「別に強制ではないからな?」
「あの……本当に良いんですか? 私達姉妹は……」
「俺もな、両親は居ないんだよ」
「……」
「けど、俺は恵まれていたと思う。テスターの街の人達は皆、俺に優しくしてくれたからな。だからじゃないけどお裾分けだ」
笑顔で話すレイフォン。
『レイフォン? 意味がわからないんだけど?』
「お裾分け?」
「とにかくだ。いけばわかる」
「よくわからないですけど、わかりました。私達
姉妹はレイフォンさんの言葉に甘えることにします」
「ああ、そうしろ。つか、なんでアイラは敬語になってるんだ?」
「それは……レイフォンさんにお世話になりっぱなしで……」
「何言ってんだ? お前らは俺の家にこれからは住むんだから家族だろ?」
「……家族」
家族という言葉になにかを感じたアイラ。
その時ーー
「アイラお姉ちゃん?」
ルンが目を覚ました。
「ルン!」
アイラはルンを抱きしめた。
「アイラお姉ちゃんくるしいよ……ってあれ??」
「どうしたのルン?」
「わたし見えるの……目が」
驚いた表情をしているルン。
「そうだよ……ルンの目は治ったんだよ。レイフォンさんが治してくれたんだよ」
「えっ?」
「あとね……私達にはお兄さんができたんだよ」
「お兄さん?」
目が治ったと言われ、その次には兄ができたと言われたルンは目をパチクリさせながら混乱した表情を見せていた。
ーーそれからアイラはルンにもわかるようにテスターの街に移り住むことなどを説明した。
ルンは自分が魔人化したことは覚えてない様子だ。
「レイフォンお兄ちゃん、これからよろしくおねがいします」
「ふふっ、レイフォン兄さん、私も改めてこれからよろしくお願いします」
礼儀正しく挨拶するルンに、嬉しそうに笑いに挨拶してきたアイラ。
「えっ? 俺が兄なの?」
「だって、家族なんだよね?」
「そう言ったけど……まっいい。つかレイでいい」
「わかったレイ兄さん!」
「レイお兄ちゃん!」
まいったな、という表情で頭をかくレイフォンとニッコリとした笑顔でレイフォンを兄と呼ぶアイラとルンであった。
『レイフォン? レイフォン? ボクもレイフォンのことをお兄ーー』
『違う意味で天に帰そうか神様?』
神様には容赦のないレイフォン。
がんばれ神様。
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