Episode 2
街の冒険者ギルドに到着したレイフォンと少女のふたり。
「よっ! 今日も仲良く夫婦ふたりで依頼か?」
ギルド入るとすぐにふたりは、ギルド内にある酒場で朝から酒を飲んでいる男性冒険者にからかうように声をかけられた。
「だ、誰がこいつと夫婦よ! ほらレイ、さっさと依頼を見に行くわよ!」
顔を赤くして男性冒険者へ言い返す少女。
少女は足早に依頼板へと向かう。
「はいはい」
そんな少女に適当に返事をしてうしろを追いかけるレイフォン。
「レイフォン、お前は今日も相変わらずに尻に敷かれてるな」
途中、男性冒険者にこれまたからかうように声をかけられたレイフォン。
「いつもの事ですから」
レイフォンは苦笑いしながら男性冒険者に言葉を返した。
「ほら! 早くしなさいよね!」
少女はもたもたしているレイフォンにご立腹の様子。
「わかってる! じゃあ俺はこれで」
男性冒険者に一礼して少女の待つ依頼板へと向かうレイフォン。
「まっ、頑張れやレイフォン」
男性冒険者は楽し気な表情でレイフォンを見送ったのであった。
ーーーー
「レイが遅刻したせいで手頃な依頼が残ってないじゃない!」
「はいはい、俺が悪うございました」
依頼板の前でご立腹の少女に対してレイフォンは適当に謝っていた。
「あっ! この依頼は良いかも知れないわね。これに決めたわ」
少女が手にしたのはブラックベアの討伐依頼書。
「ほら、行くわよレイ!」
「はいはい。どことなりとも行きますよ」
レイフォンはただただ少女に従うのみだった。
ーー
ギルド受け付けカウンター。
「ミリアさんおはようございます。この依頼を受けたいんですけど」
「おはようふたりとも。今日もふたりで依頼を受けるでいいのかしら?」
挨拶を交わして依頼書を差し出した少女。
それを受け取ったのは受付担当の女性ギルド職員ミリア。
「はい。レイひとりでは何も出来ませんからね」
「何も出来ない俺で悪うございましたね」
きっぱりと答える少女の言葉にレイフォンは少しふてくされるようにぼやいた。
「あらあら、ふたりは今日も仲が良いのね」
「か、勘違いしないでください! ただレイが私の幼馴染みなだけで、本当にレイはひとりじゃ何も出来なくて、だから私が何も出来ないレイの面倒を見てると言うか……とにかく! こいつは何も出来ないんです!」
ミリアのふたりを見て楽しそうに述べた言葉に、少女は動揺を見せながらも全力で否定して言い訳のように言葉を返した。
「……何も出来ないって言い過ぎじゃね?」
レイフォンは少女のあまりにも多い「何も出来ない」という言葉に少し落ち込む様子を見せると再びぼやいた。
「ふふっ、そういう事にしとくわ。はい、これで依頼は受理したわよ。ふたりとも気をつけていってらっしゃいね」
「あ、ありがとうございます。ほら、レイ行くわよ! レイが遅刻したせいで遅れてるんだからね! さっさとしなさい」
楽しそうに微笑むミリアから依頼受理の判子を押してもらった依頼書を、まだ少し動揺を見せる少女がお礼を述べながら受け取った。
そして、レイフォンへの文句。
「はいはい。じゃあ、ミリアさんいってきます」
レイフォンは少女に適当に返事をして、ミリアに挨拶をしたあと、逃げるように先にギルドを出て行ってしまった少女のうしろを追ってギルドをあとにしたのであった。
ーー
ふたりがギルドから出て行ったあと
「ふふっ、アシュリー様は本当に素直じゃないんだから」
ミリアは楽しそうに微笑み小さく呟いていたのだった。
お読み頂きありがとうございました。