Episode 191
デートをしているレイフォンとアシュリーは、少しオシャレな飲食店で食事をしていた。
「はい、いまので減点2だから、レイの残りの点数は1点よ」
つい、アシュリーが食べている料理がおいしそうだからと、分けてもらおうとしたレイフォン。
許可なく、料理に手を出そうとしたのが悪かったのか、レイフォンはまたもや、減点を食らってしまっていた。
「おい! ちょっと待っ……」
ちょっと待て! そのくらいいいだろ、と、レイフォンは言いたかった。
だが、言ってしまえば、さらなる減点が待っている。
レイフォンは頑張って我慢をした。
「な〜にレイ?」
そんな我慢するレイを面白がっているように見えるアシュリー。
「いや、ちょっと、トイレに行って来てもよろしいでしょうか?」
レイフォンは一旦、落ち着くため、アシュリーに丁寧な言葉で確認をし、断りを入れてた。
「許可するわ」
ニコッとした笑顔で許可したアシュリー。
アシュリーの表情は楽しそうにも見える。
「ありがとうございます……」
レイフォンは愛想笑顔で礼を述べたあと、席を立ちトイレへと向かった。
「はぁ……」
トイレでひとりになり、大きな溜息をついたレイフォン。
(全然わんねぇ……。どうすれば点数増えるんだよ。さっきから減る一方だし……。あ〜わかんねぇ、わからなさ過ぎる。つか、つぎに減点されたらどうなるんだ?)
0点である。
レイフォンはどうすれば、減点されないかを考えていた。
だが、まったくわからない。
(あ〜、もう考えても仕方ねぇな。とりあえず、出来る限りアシュの機嫌をとるしかないな。つか、そろそろ戻らないと、また遅いとか言われて減点食らっちまう)
結局は何も考えが浮かばないまま、アシュリーの元へ戻ることにしたレイフォン。
席のある店内に戻ると、そこは妙な空気と状況へと変わっていた。
「いいから、俺達と遊ぼうぜ、な?」
「だから、お断りしますっていいましたよね?」
「いいじゃねぇか、連れなんてほっといて、俺達と遊んだ方が何十倍、いや、何百倍も満足し楽しめるからよ」
「そうだぜ。つ〜か、その連れっていうやつ、まだ戻って来ねぇじゃんか」
「もしかして、俺らを見てビビって逃げたんじゃねぇか?」
「それ、ありえる〜」
ガラの悪そうな男性3人組がアシュリーに絡んでいた。
そして、その他の客は関わらないようにしたいのか、無言。
たまに数人の客が男性3人組をチラチラと見ている。
それに気づいたのか、男性のひとりが
「つ〜か、お前ら何をジロジロ見てんだよ! こらっ!」
と、客達に向かって怒鳴りかけた。
この状況にレイフォンは焦るのではなく、ポカーンとしていた。
(……何? この状況?)
そして、レイフォンはそんな状況の中心にいる彼女、アシュリーと目が合ってしまう。
レイフォンを見た瞬間、アシュリーが可愛らしくニコリと微笑んだ。
(ここで、いいとこ見せてくれないと、わかってるわよね?)
レイフォンの頭の中に聞こえてきたそんな声。
いつの間に覚えたんだ、その魔法……なんてのは今はどうでもいい。
レイフォンは思った。
(俺がなんとかしなくても、自分でなんとか出来るよな? つか、いいとこ見せろって何それ? 無茶ぶりだよな?)
お読み頂きありがとうございました。
お陰様で10月21日に『世界最強になった俺〜最強ですけどなにか?〜』書籍1巻の発売も迎えることが出来ました。
本当にありがとうございました。
これからも、どうぞ、宜しくお願い致します。