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Episode 19

 ベロアの街の貧民地区。


 少女アイラは夢を見ていた。


「わたし、目が見えなくてもできるおしごとをみつけてね、アイラお姉ちゃんのためにはたらきたいの」


「ありがとうルン。だけどルンは心配しなくても大丈夫よ。今は貧しい生活だけど、私がもう少し大きくなったらちゃんとした仕事も見つかると思うの。そしたら今の生活からはおさらばなんだからね」


「だけど……」


「ルンは気にしないで、とりあえず目を治そうね」


「なおるの?」


「うん。噂でね、王都にどんな病気や怪我でも治してしまう魔法使いの人がいるらしいの。だからお金が貯まったら王都に行ってルンの目を治してもらおうね」


「うん! ありがとうアイラお姉ちゃん! だけど……お金……」


「またルンは心配するんだから、お姉ちゃんに任せなさい!」


「なら、わたしの目がなおったらわたしもおしごとする! だからそのときはね、アイラお姉ちゃんはルンにまかせなさいなの!」


「ふふ……ありがとうルン」


 夢の内容はアイラがルンと約半年前に会話した時の出来事だった。



 ーーーー



「ルンにはもうすぐ貯まるって言っちゃったけど……まだまだ足りない……」


 アイラは起きてからすぐにお金の入った布袋をみて溜め息をもらしていた。


「アイラお姉ちゃん?」


「ルンも起きたのね」


「うん。アイラお姉ちゃんはそんな顔をしてどうしたの?」


「あっ、これは…………え!?」


 ルンの発した顔という言葉にアイラは驚いた。


 ルンは目が見えないはずである。


「ル、ルン? 今もしかして顔って言わなかった?」


「うん。起きたらね、ぼんやりとだけどアイラお姉ちゃんのすがたが見えたの。アイラお姉ちゃんだよね?」


「そ、そうよルン! 私があなたのお姉ちゃんよ!」


 いったい何が起きたのかはわからない。


 だけど、アイラにはそんなことはどうでも良かった。


 ルンの目が見えた、それが本当に嬉しくアイラはルンを抱き締めた。


「アイラお姉ちゃん苦しいよ」


「ご、ごめんルン。ルンが目が見えるって言ったからつい嬉しくなって……」


 ゆっくりと抱き締めた体を離すアイラ。


「うん……だけどね少しおかしいの……」


「おかしい?」


「わたしがわたしじゃないみたいでね……今も……うっ!」


 突然目を大きく見開いた後に苦しそうにして倒れこむルン。


「ルン!」


「だめ……アイ……ラ……お姉……ちゃん……に……げて」


 手をさし伸ばそうとするアイラにルンは顔を上げて苦しそうにしながら言った。


「ルン?」


 明らかに様子はおかしいルン。


 アイラとルンの位置は手を伸ばせばすぐに届く距離。


「はや……く……にげ……て……あとね……ばいばいアイラお姉ちゃん」


 倒れたまま見上げた顔のルンの最後に放った言葉の時の表情は笑ったように見えた。


「え?」


 アイラは動けないでいた。


 その直後ーー


 ルンの体に異変が起きる。


 肌が黒くなりはじめ、髪の毛は真っ白となっていった。


「な、何? ルン? 何? え……」


 混乱と動揺。


 アイラは自然と後ずさる。


 そしてーー


 身長はそのままだが、すっかり姿が変わってしまったルンはむくりと立ち上がった。


「人間殺す、人間喰う……餌見つけた」


 魔人化してしまったルンは言葉を発し、アイラの姿をとらえると口元をニヤリとさせたのであった。




お読み頂きありがとうございました。

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