Episode 185
「いいな? アシュ達には余計な事を言うんじゃないぞ?」
「はいはい、わかってるわよ。お父様がわたくし達の関係を認めた事と、わたくしのこの…お腹の中にいる子供の事はまだ話さないわ。レイフォンは何度確認すれば気が済むのかしら。わたくしの事、そんなに信用ならないのかしら? わたくし、少し悲しいわ」
アシュリー達が待つはずの家への帰り道。
レイフォンはミリベアスに対し、繰り返し余計な事を口にしないように注意を促していた。
「俺の信用が欲しいのなら、まず…そのお腹を触る行為をやめろ…」
「あら、"あなた"も触りたい?」
「触らんわ! つか、それ絶対やめろ! そう言う嘘はマジでやめろ!」
「ふふふ…照れちゃってカワイイわね」
「いや…照れてるとか違うからな?」
レイフォンの子供がお腹の中にいる。
そんな設定をいまだに楽しんでいるミリベアス。
レイフォンは呆れ、心配していた。
ーーー
日が暮れる前に家へと帰ってきたレイフォンとミリベアス。
「ただいま」
「あ、お帰りなさいレイフォンさん、ミリベアス」
「ただいま、マリベル」
家に入り、最初の部屋に居たのはマリベル。
椅子に座るマリベルの膝にはちょこんと神様(幼女)が座っていた。
「おかえり、ふたりとも。それで、どうだったんだい?」
どうだったとはミリベアスの父親、魔王の事である。
少しニヤニヤした顔でレイフォンを見ながら聞いてきた神様。
神様はミリベアスの正体を知っている。
「別に普通だ。少し話をしたら帰って行った。ただ単に娘の顔を見に来ただけだ」
「ふ〜ん、そうなんだ」
絶対に何があったはずと思う神様であるが、何も知らないマリベルも居るので、ここでは言及はしなかった。
「そうなんですか。ミリベアスのお父様が恐い人みたいな事を聞いていたので、私は少し心配していましたけど、何もなくてよかったです」
「ああ、心配するような事は"何も"なかったぞマリベル。なぁ? ミリベアス?」
「ん? まぁ、そうね」
ミリベアスが余計な事を言わずにただ頷いた事に、ほっと一安心を見せたレイフォン。
「それよりも、アシュはまだ帰って来ていないのか?」
「アシュリーですか? アシュリーならまだ訓練から帰って来ていませんけど?」
レイフォンに答えたのはマリベル。
「まさか、まだ訓練してるとかそんなんじゃねぇよな…? いや、あいつならありえるか…」
「どうでしょうか? 気になるのならレイフォンさんが直接迎えに行ってみたらどうですか? もしかしたらまだ、お城の訓練場に居るはずですよ」
「う〜ん…なら、ちょっくら行ってくる」
「はい、いってらっしゃい」
何故か妙にニコニコした表情のマリベル見送られ、レイフォンはアシュリーが居るはずの城の訓練場へとむかったのであった。
(ふふっ、突然レイフォンさんが迎えに現れたらきっとアシュリーは驚くはずです)
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