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182/198

Episode 182

 ジャリックではない場所。


 北の地域に位置するとある大地。


 北の地域は人間立ち入り禁止の地域。


「なかなかやるではないか義息子よ」


「えっ、あ…どうも」


 レイフォンは魔王と戦っていた。


 流石に軽く戦うとしても、近くに人間達がいる場所ではマズイと判断したレイフォン。


 レイフォンは魔王に提案をして場所を変えていた。


 レイフォンも魔王も本気では戦ってはいない。


 軽い手合わせ程度の戦い。


 山がひとつ消滅していたりもするが…。


「あの…魔王様? 俺の実力もわかったと思うんでそろそろ終わりにしませんか?」


「何を言っている。楽しくなるのはこれからではないか」


(何を言ってるはこっちのセリフだ! 何が楽しくなるのはこれからだ。こっちは全然楽しくないんだよ。つか…ミリベアスは何をやってるんだ…)


 ミリベアスはふたりから離れた場所で戦いを観戦していた。


「あっ、今わたくしのお腹をこの子が蹴ったわ。もしかして、応援してるのかしら。うふふ♪」


 自分のお腹を優しく撫で微笑むミリベアス。


「あなた! この子が"パパ"がんばってって言っているわ」


(何を言ってやがるんだあいつは…)


「お父様! お爺様もがんばってとも言っています」


「うむ…そうか…」


 若干ではあるが嬉しそうな表情を浮かべる魔王。


 魔王にとって初孫。


 多少なりとも嬉しさは感じているようだ。


 だがしかし


 実際にはミリベアスのお腹の中には子供など存在はしていない。


(つか…あいつの腹、微妙に膨らんでね? 気のせいか?)


 気のせいではない。


 ミリベアスのお腹は確かに膨らんでいた。


 想像妊娠というやつであろうか。


「…さて、少しばかり本気を出すとしよう」


 何故か妙な気合をいれる魔王。


(いやいや、本気とかマジで勘弁だから! つか、ミリベアス…いい加減にしろよ)


 ミリベアスに向けて睨みを向けるレイフォン。


 だが


「ほ〜ら、パパが笑顔でこっちを見ているわよ」


 と、楽しそうにお腹に向かって話しかけるだけ。


 レイフォンの口元は引きつっていたのであった。


(この件が終わったら覚えていろよ、ミリベアス)



 ーーーーーー



 レイフォンがパパ? になった頃、アシュリーはジャリック城の訓練場でひとり黙々と汗を流していた。


(何もない、何も起こらない、大丈夫。ただ、レイはミリベアスのお父様に会うだけ。深い意味なんてない、何もない…)


 レイフォンのことばかりを考えながら。


「やあ、アシュリー」


 訓練場に現れたのは勇者レオン。


(何もない、何もない、何もない…)


「アシュリー?」


(何もない、何もない、何もない…)


 訓練に集中と言うか、レイフォンの事で頭がいっぱいのアシュリーはレオンに気づいていなかった。


「アシュ、リー?」


「わ!? ゆ、勇者様? いらしてたんですか…」


 三度目でようやくレオンに気づいたアシュリー。


「あ、ああ。訓練に集中しているところ邪魔をしてしまってすまない」


「あ、いえ…こちらこそ気づかなくてすみません」


「あはは。大丈夫だよ。それより、今日はアシュリーに話があって僕はここに来たんだ」


「話、ですか?」


「ああ、実は明日から僕の父がこの国に訪れるんだ。よかったらアシュリーに僕の父に会ってもらいたいのだけど、どうだろうか?」


「私がですか?」


「べ、別に変な意味ではないよ。ぼ、僕のわ"仲間"として君を紹介したいんだ。マットとミミーは僕の父には会った事はあるけど、アシュリーは会った事なかったよね? だから、丁度いい機会だと思って…」


(勇者様のお父様…)


 少しの間、考える仕草を見せたあとアシュリーは返事を返した。


「…わかりました。勇者様の仲間として勇者様のお父様にお会い致します」


「ほ、本当かい!」


 アシュリーの了承の返事にもの凄く嬉しそうな表情で喜びを見せるレオン。


 アシュリーは知らない。


 レオンが父親に仲間とではなく、好きな女性を紹介したいと伝えている事は。


お読み頂きありがとうございました。

このたび、HJノベルス様より書籍化致します!

詳しい内容は、本日の8月15日の活動報告より随時載せていきます。

これからも宜しくお願い致します。

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