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Episode 177

 レイフォンとミリベアスは中心街をふたりで歩いていた。


 目的はミリベアスの父親である魔王を探す為。


 面倒事になる前に探して、さっさと会って魔国に帰ってもらう為である。


 探そうと言い出したのはレイフォンだった。


「レイフォンからお父様に会いたい、挨拶をしたいなんて言うとはわたくし思っていなかったわ」


「会いたいとも挨拶したいとも言ってねぇよ。出来れば会いたくないし関わりたくもない。けど、アシュに任せろって言った手前何とかしないとまずいだろ。それに、お前だって色々と困るだろうが?」


「ま、そうね。わたくしの事まで考えてくれるなんて優しいわね? ますますレイフォンの事を好きになったわ」


「ち、ちげぇよ別に…。俺は魔族がとか気にしていないけど普通の人間、アシュやマリベルは魔族の事をよく思っていない。アシュは魔王討伐を目指す勇者パーティーメンバーでマリベルは魔族に国を滅ぼされ、家族を殺された姫様なんだからな。何かの拍子でお前の正体がバレたりしたらマズイだろ? だからだよ」


「本来なら一緒に行動を共にしてはいけない存在同士だものね。わたくし達は…」


「かもな。けどお前はお前だ。当分は正体はバラせないかもだけど、いつかはバラしても大丈夫な時が来るんじゃないか。わかんねぇけどな」


「そうね。わたくしが魔族だとバラしても殺されない程度にはなってるといいわね。あのふたりと本気で殺し合いをするなんて、今のわたくしには考えられない事だもの。ふふ…おかしな事を言ってるわね、わたくし」


「別におかしな事じゃねぇよ」


 ふたりが話をしていると聞き覚えのある声が屋台の方から聞こえてきた。


「金はないと言っているではないか」


「だったら商品は渡せねぇな」


「何故だ?」


「はぁ?」


 数度だけ会った事のある青年アッシュの姿。


 しかし、話し方に違和感を感じる。


「あれってアシュの名前に似た紛らわしいやつじゃないか?」


 アッシュの姿に気づいたレイフォン。


「……」


 ミリベアスは無言のまま言葉を返さない。


「どうした?」


「……レイフォン、あれはお父様よ」


「は?」


 アッシュを見て父親だと言い出したミリベアス。


 レイフォンには言っている意味がわからない。


「何を言ってんだ?」


「お父様には体というものが存在しないの。誰かの体を奪い器とする。それがお父様なのよ。あの体からはお父様の魔力を感じるわ」


「どういう事だ? なら、あの紛らわしいやつはお前の父親に体を奪われ器にされているって事か?」


「そうよ」


「殺されたって事か?」


「たぶん、生きているとは思うわ」


「まっいいや。とりあえずは見つけたって事だな。行くぞミリベアス」


 迷う事なく魔王の元へと歩きはじめたレイフォン。


 そんなレイフォンをミリベアスが呼び止める。


「ちょっと待てレイフォン。お父様は魔王よ」


 普通の人ならば恐れる魔王。


 娘のミリベアスでも実際に対面するとなれば緊張してしまう存在。


 だが、レイフォンは違う。


「ん? だから? そんなのどうでもいいだろ。このまま居られ続けて面倒事が起きる方が困るだろうが。いいからさっさと話しでもして帰ってもらうぞ。魔国にな」


 まったく臆する事のないレイフォンを見てミリベアスはおかしそうに微笑んだ。


「ふ、ふふふ…」


(レイフォン、貴方はやっぱり面白いわ)

お読み頂きありがとうございました。

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