Episode 17
レイフォンと神様がベロアの街に到着して三日目。
昨日は結局、街をみてまわり歩いただけのレイフォン。
「さて、今日はどうするかな、って神様どうしたんだ?」
神様は目を瞑り、何かを考えている様子。
「あのね、レイフォン? もしかしたら、ボクの予感が当たっちゃったかも知れないんだ」
「それって、この街で何かが起こるって事か? 神様、宿屋に泊まる時に一週間ぐらい様子をみよう、って言ってたけど?」
「よく覚えていたね? けど、そうなんだよ」
「具体的には?」
「実はね……今のボクはーー」
神様はレイフォンの願いを叶えてから神力と呼ばれる神の力が落ちていた。
その為、今の神様は元の姿に戻れず、天界にも帰れずにいた。
今の神様は、この世界で何かが起ころうとしていてもわかるのは、何か起こりそう、起こるかもと予感を感じる事ぐらいしか出来なかった。
あとは、宙を少し浮いたり、姿を透明化して消えたり、レイフォンの頭に直接話しかける事ぐらい。
「なるほどな……神様は俺の願いを叶えて、その神力を使い過ぎたわけだな?」
神様の今の状態を聞いて納得した様子のレイフォン。
「そう言う事だね。あとは、こんな感じに、っと」
何もない空間からパンが出現させた神様。
「異空間からものを取り出す事ぐらいかな」
「つか、そのパンって俺がテスターの街を離れる時に、俺が貰ったパンだよな?」
レイフォンの言葉にギクッとし動揺する神様。
「こ、これはパンが痛まないようにボクの異空間に……しまっておいただけ、だよ」
「まっ、いいんだけどな。そういえば神様?」
そんなに気にしてもない様子のレイフォンは神様に尋ねる。
「な、なんだい?」
こっそり自分だけパンを食べようと考えていた神様はまだ、少し動揺していた。
「神様が願いを叶えてくれたのは覚えてるんだけど、俺って神様にいったいどんな願いを叶えて貰ったんだ?」
「まさかだけど……レイフォンはボクが叶えてあげた願いを覚えてないの?」
動揺から戻った神様はレイフォンの言葉に聞き返した。
「ああ、正直あの時は願い事とかどうでもよかったからな」
「どうでもよかったってね……」
レイフォンの言葉に呆れる神様。
「しょうがないな……ボクが君の、レイフォンの叶えた願いはね……世界最強だよ」
やれやれと神様が教えたレイフォンの叶えた願い。
『世界最強』
「いや、世界最強とか意味がわからない。つかゲームや漫画じゃないんだし……ってゲームと漫画って何だよ?」
また頭に浮かんできた言葉を使って神様に返したレイフォンだが、言葉の意味はよくわかっていなかった。
「レイフォンに与えたおまけはしっかり機能してるみたいだね」
「おまけって? 急に頭に浮かんでくる言葉とかか?」
「そうだよ。ボクが与えたおまけとは、この世界とは違う世界の知識……言わば異世界知識だね」
「違う世界? 異世界……知識?」
神様のおまけの内容にわけがわからない、と言うような表情を見せたレイフォンであった。
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