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Episode 157

 日が暮れかけた頃、ようやくゼロの順番がまわってきた。


「では、最後の者」


 色々と限界に達していたゼロは列から抜け出していた為に順番が最後となっていた。


 ゼロは判定員の声に言葉を発さずに頷き壁の前へと立った。


「はじめてください」


 再度頷くゼロ。


 ゼロは腰に付けている鞘から一本の剣を抜いた。


 壁への攻撃は魔法又は武器の使用も認められている。


 剣を右手に握り、そのまま片手で振り上げたゼロ。


 そして、壁に向けて剣を振りかざした。


「なっ⁉」


 驚愕の表情を見せる判定員。


 口元をニヤリとさせるゼロ。


 壁は真っ二つに切断されたのである。


 テストの結果は明日の朝に発表されるとなっているのたが、会場内には他の参加者が気になるのか多くの参加者達が残っていた。


 そのひとりアシュリー。


 アシュリーが気になっていたのはゼロ(レイフォン)のみなのではあるが。


(あのバカ。何を目立ってるのよ。やる気なさそうにしていたくせに。あぁあ~、全員レイの事をガン見しているじゃない……本当にバカなんだから……)


 一方のそんな事などは今は気にしていないゼロ。


(本当は粉々ぐらいに粉砕した方がスッキリしたけど、自粛は大事だよな。けど、ちょっとはスッキリしたから、まっいいか)


 本人は自粛したつもりでいた。


 というか、ゼロはテストを受けたというよりちょっとしたストレス発散を行っただけであった。



 ーーーー



 夜の屋敷でゼロの姿から戻ったレイフォンはアシュリーに正座をさせられ説教されていた。


「バカなの? あんなところで目立ってどうするのよ! あんなに自分で目立ちたくないとか言っときながら早速自分から目立ってたじゃない。それに、なんなのあのダサい格好は?」


「お、俺にも色々と事情があったんだよ! つか、ダサい言うな! そんな事はわかってるんだよ俺も……」


「ボクは格好良いと思うけどな」


 ポツリと呟いたのは神様(幼女)。


 そもそも変装装備を用意したのは神様である。


「と、とりあえず合格は間違いないんですからいいじゃないですか」


「そうね。それにレイフォンからやる気を見せるなんて良い傾向じゃないかしら」


 説教の話の間に入ってきたのはマリベルとミリベアス。


「そ、そうだぞアシュ。ふたりの言うとおりだ」


 やる気はないが。


「レイがやる気? そうは思わないけど、まっいいわ。とりあえず明日の発表次第では私とレイが同じブロックで戦う可能性はあるわ。もし、私と戦う事になったら本気で来ないと許さないわよ。レイが強い事はわかってるわ。だけどレイは私に対して一度も本気で向かってきた事はないものね。だから確かめたいのよ……レイの本気の戦いを」


「レイフォンさんの本気の戦いですか……」


「レイフォンのね……」


 レイフォンの本気の戦いを想像する三人。


 話を聞いていた神様は思った。


(この世界に本気のレイフォンと戦える者は存在しないと思うけどねボクは)


「とりあえず、"アシュ"と戦う事になったら本気で戦ってやるよ」


 軽くアシュリーからの要求に応じたレイフォン。


「それはアシュリー以外には本気を出さないと言う事かしら?」


「ああ、出さない」


 目を細めて尋ねてきたミリベアスに即答したレイフォン。


「勇者や、あのアッシュとか言うのはともかくお兄様もいるのよ? レイフォンはお兄様がどう言う立場の者か知っているわよね?」


 ミリベアスの兄マクベアスは次期魔王である。


 レイフォンは当然理解している。


 だが


「だからなにか?」


 レイフォンはどうでもいいように答える。


「それはレイフォンにとってはお兄様(次期魔王)程度は眼中にないって事かしら?」


「まっそうだな。例え魔王だろうと俺には興味はない」


 聞き方によれば強気な発言。


 実際にはレイフォンはただ本当に言葉通り興味がないだけである。


(ふふふ……これだからレイフォンは面白いわ。早速お兄様に伝えないといけないわね)


 このあとレイフォンはマクベアスから完全に敵認定を受ける事になるのであった。

お読み頂きありがとうございました。

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