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Episode 156

 世界武道大会ウェスタリア王国予選。


 予選は四ブロックに分けたバトルロイヤル。


 各ブロックで勝ち残った四名が中立国ジャリックでの本選に出場出来るという流れの予定だった。


 しかし、予選開催前日。


 予定内容が変更されると発表された。


 四ブロックでのバトルロイヤルに変更はない。


 だが、バトルロイヤルの前にテストが行われる事になったのである。


 理由は参加者が予定より集まリ過ぎた為。


 参加者は千人を超えている。


 流石にこの人数を四ブロックに分けてバトルロイヤルを行うには厳しいものがある。


 なので、バトルロイヤルの前に急遽人数を減らす為のテストが行われる事となった。


 四百人程まで絞る予定らしい。


 参加者受付の時点で参加者人数はわかっていた事だろうとは思うが、ここはあえて触れないでおこう。


 さて、肝心のテストではあるが、何をするかと言うと、それは至ってシンプル。


 魔法のかけられた特殊な鉄の壁に攻撃を加える。


 ただ、それだけである。


 魔法の効果により壁が受けたダメージを数値として測定してくれるものとなっている。


 レイフォン、いや変装している今はゼロ。


 そのゼロはテスト内容を聞いて思った。


 まるでパンチングマシーンじゃないかと。


 もちろんゼロはパンチングマシーンの実物は知らない。


 久しぶりに頭に浮かんできた異世界知識で知り得た言葉と情報である。


 とにもかくにも、このテストの数値の上位約四百人がバトルロイヤルの予選に参加できるのである。


 ーーーー


 予選開催当日。


 会場にはテストを受ける為に並ぶ長蛇の列の参加者達の姿があった。


 遅れて会場に到着したレイフォン、改め現在は白いフードと白い仮面姿の人物ゼロは最後尾の方に並んでいた。


(アシュのやつ、同じ屋敷なんだから俺の事を起こしてくれてもよかったじゃないか。いつもなら俺を殺す勢いで起こしてくれてたのに。何で今日に限って起こしに来てくれなかったんだよ。つか、起きたら誰も屋敷に居なかったし)


 すでにテストを終えているであろうアシュリーに対して心で文句を愚痴りながら。


(あ~、このままだと余裕で昼が過ぎるじゃないか。俺、朝何も食ってないんだぞ。つか、壁がひとつっておかしいだろ? どんだけ効率が悪いんだよ。まったく……)


 さらに愚痴るゼロ。


(くっそ~、そもそも何で俺がこんな格好して参加しないといけないんだよ。ミリベアスめ、まんまと俺を嵌めやがって)


 ゼロの愚痴りは止まらない。


(そういえば、マリベルあいつ、あいつは何を企んでやがるんだ? あいつから話しかけてきたから話し返したのに急に逃げちまうし。最近のマリベルはわけがわからん)


 とにかく愚痴りたいゼロ。


 ちなみに列はあまり進んでいない。



 ーーーー



 そんなひとりゼロが心で愚痴ってる頃。


 テストを受けていたのは


「ふっ、くだらんな」


 ミリベアスの兄マクベアスであった。


「か、壁にヒビが……なんて事だ……」


 通常では凹みも、ましてや傷なども付かない特殊な鉄の壁。


 だが、その壁に軽く触れただけでマクベアスはヒビを入れてしまったのである。


 想定外の事態に判定員は驚きを隠せないでいた。


 テスト前にミリベアスに会っていたマクベアスは言われた通りに一%程しか力を出していなかった。


 そもそもマクベアスは壁に軽く触れただけなので力を出したとは言えない。


「私はもう行くぞ。いいな?」


「は、はい」


 つまらなそうに立ち去るマクベアス。


 当然だがマクベアスはバトルロイヤル参加を確定させたのであった。


 そしてこのあと、ある発表がされた。


 それはヒビが入った壁の修復を行う為にテストの一時中断の知らせであった。


(え?  ヒビ? 一時中断? は? ふざけてるの? 予備は? つか、どんだけ準備不足なんだよ! これって国が仕切ってるんだよな? ありえなくないか? あ~、マジダルい……マジ面倒……俺、もう帰っていいかな?)


 発表を聞いたゼロは愚痴り、ただでさえやる気がないのにさらにやる気を失ったのであった。


(つか、腹が減ったしトイレ行きたい……)

お読み頂きありがとうございました。

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