Episode 155
訓練を終えたアシュリーとその訓練をサポートしていたミリベアスとマリベル。
「はい、アシュリーお水です」
「ありがとうマリベル」
マリベルから水を受けとるアシュリー。
「マリベル、わたくしにはワインを」
「そんなものはありません!」
ミリベアスはワインを要求するが、そんな物を用意しているはずはなかった。
「あら、残念。そういえばふたりとも最近、レイフォンとあまり話をしていないでしょ?」
「は、話してるわよ、ちゃんと」
「わ、私もこの間、真っ白って話しました」
「どうして動揺してるのよふたりは? レイフォンは普通にしてるわよ?」
それはレイフォンだからと思うふたり。
「私はその……意識し過ぎちゃうと言いますか。そもそもレイフォンさんに気持ちを伝えたわけでもないのにいいのかなって?」
「わ、私は別になんとも……」
素直なマリベルに素直じゃないアシュリー。
「細かいし面倒ね貴女達? 正直何も変わってないじゃない? レイフォンはレイフォンで相変わらず鈍感なふりなのかはわからないけどはっきりしてくれないし」
「「確かに……」」
レイフォンに対して同感するふたり。
「とりあえずは妙に意識してしまうくせをやめなさい。普通にしていればいいのよ、普通に」
「「……」」
「そうだわ。わたくし達もはっきりさせる事があったわね。まずはわたくし達三人はレイフォンの事に好意を寄せていると言う事は間違いないわよね?」
ゆっくり無言で頷くふたり。
「レイフォンの本命はアシュリーだけどアシュリーはわたくしとマリベルがレイフォンに好意を寄せている事に関してはどう思っているのかしら?」
「……はじめは複雑だったけど、今は……その……レイがふたりにも好意を持っているのなら仕方ないと思うし、私は受け入れるわ」
「正妻の余裕かしら? 少しムカつくわね。けど、アシュリーはレイフォンがわたくし達ふたりにも好意を寄せたら認めるって事ね?」
「そうよ……」
「だそうよマリベル?」
「へ!?」
急にミリベアスにふられて慌てるマリベル。
「貴女には複雑な事情があるみたいだからあれだけど。しばらくはまだレイフォンと一緒に居るんだから気持ちを整理させて答えをはっきりさせなさい。レイフォンどどうなりたいかをね」
「あ……はい。レイフォンさんとどうなりたいかをですか……」
ミリベアスはマリベルがレイフォンに対して積極的になれないのは、複雑な事情が関係している事を何となくわかっていた。
複雑な事情とはイルガリア王国関連の事なのだが。
「それじゃあそろそろ、わたくし達の将来の旦那様が待っている屋敷に帰りましょう」
そして、三人はレイフォンの待つ屋敷へと帰って行ったのであった。
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