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Episode 151

「お兄様? わたくし将来はお兄様のお嫁様になるの!」


「強いお兄様大好き!」


「お兄様行っちゃイヤ!」


「お兄様? 今日はお兄様と一緒におやすみしても……いいですか?」


 マクベアスはミリベアスが幼い頃の事を思い出していた。


 あんなに自分の事を大好きだと言っていた可愛い妹ミリベアス。


 そんなミリベアスに好きな人。


 しかも、人間。


 マクベアスは今世紀最大のダメージを受けていた。


 ーー


「ミリベアス! お前はさっきから何言ってるんだよ!」


「ん? 何ってわたくしは事実を述べただけよ」


 聞こえてくるのは自分の可愛い妹ミリベアスの声とミリベアスが将来の旦那様だと公言した人間の声。


「おい……貴様……」


「あ、ミリベアスの兄ちゃん」


「あら、お兄様」


「貴様……私と戦え。これは……命令だ」


 鋭い目でレイフォンを睨みながら口にしたマクベアスの言葉。


 威圧も含まれた言葉。


 普通の人間なら逆らえないだろう。


「え、あ、遠慮しときます」


 だが、レイフォンは断る。


「私に負けるのが恐いのか?」


「そうっすね」


 ちょっと適当なレイフォン。


「ふん、やはり認められん。ミリベアス帰るぞ」


「帰りません。あと、レイフォンは口下手なのです」


「口下手?」


「はい。わたくしの将来の旦那様レイフォンはお兄様を傷つけたくないが為に断ったのです。確かにお兄様はお強いです。しかし、レイフォンからするとお兄様はその辺にいる虫とかわらないのです。ほら、虫から戦えと言われてはいとは答えないでしょ?」


「虫と同じ? 私が?」


「はい。レイフォンからしたらお兄様もただの虫けらと一緒なのです」


「ほう……」


 マクベアスの額には怒りで血管が浮かび出してきていた。


 マクベアスは基本的にミリベアスの言葉なら信じてしまう。


「いやいや、おかしいだろ……」


 レイフォンは呆れていた。


「あ、そこで固まってる勇者の貴方もその隣の貴方もレイフォンにとってはただの虫けらと一緒ですよ? どんなに努力しようとも決してわたくし達の将来の旦那様には勝てませんよ」


 この挑発にまだ理解はしていないが、自分がレイフォンより弱いと言われた事はわかったアッシュ。


「は? 俺が虫けらだと? こんなガキの方が俺より強いだと? ふざけるな! おいガキ! 俺とも戦え」


 弱いと言われる事が嫌いなアッシュ。


「勇者の貴方はどうなのかしら?」


「ぼ、僕は……」


 レオンの頭の中はそんなどころではなかった。


 アシュリーとレイフォンの関係の事で頭が一杯で混乱していたのだ。


「あ、あのレイフォン君? 彼女が言ったのは本当の事かい? しょ、将来の旦那様だっけ? アシュリーも含めて三人と?」


 真実を知りたいレオンはレイフォンにおそるおそると尋ねる。


「そ、そうなんです勇者様。だ、だからごめんなさい」


 答えたのはずっと黙っていたアシュリー。


「え?」


 まさかアシュリーが直接答えてくると思わなかったレオンは驚いた。


「あ、え、あ、え……」


 完全に頭が真っ白になってしまったレオン。


「アシュ、お前まで何を言ってるんだよ!」


「ガキが俺を呼び捨てにするんじゃねぇ!」


 反応したのはアシュリーではなくアッシュ。


 確かにアシュとアッシュは名前が似ている。


「あんたじゃねぇよ!」


(つか、もうわけがわかんねぇよ……)


 このよくわからない状況でただひとりだけ楽しそうにしている人物がいた。


 それは


(ふふふ、面白くなってきたわ。ちょっと予定とは違うけどなんとかなりそうね)


 この状況を作り出したと言ってもいいミリベアスだった。

お読み頂きありがとうございました。

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