Episode 150
着替えを済ませ六人が集まる大広間の部屋に入って来たレイフォン。
「悪い待たせた。ん? あれ勇者様?」
勇者レオンの存在に気づいたレイフォン。
「やあ、レイフォン君久しぶりだね」
「ども」
(ん? あのふたりは知らないな)
マクベアスとアッシュの事である。
「レイフォン、こちらはわたくしのお兄様よ」
「えと……アッシュさんです」
レイフォンにふたりを紹介するミリベアスとマリベル。
「あ、どもレイフォンです」
マクベアスは黙ってレイフォンの事を観察している。
(誰が現れるかと思ったらただのガキじゃねぇか)
アッシュはレイフォンを見て思う。
「レイ、とりあえず席に座って」
「ああ」
レイフォン以外は皆、大きなテーブルの席に着席していた。
今は三対三で男女向き合って座っている形である。
アッシュの隣が空いてる事に気づいたレイフォンはそこに座ろうと向かう。
だが
「レイフォンはこっちよ」
ミリベアスとアシュリーの間に空いた席。
ミリベアスがずれて空けた席。
「え、俺はあの人の隣でいいよ」
「駄目よ。紹介が出来ないじゃない」
紹介なら終わっただろと思うレイフォン。
「まっ、いい。わかったよ」
レイフォンが空いた席、ミリベアスの座っていた席に座ろうとした時だった。
「待て!」
立ち上がり声を出したのは正面のマクベアス。
「貴様! 私の可愛いミリベアスが座っていた席に座る気か!」
「は?」
突然と怒り出したマクベアスに意味がわからないレイフォン。
マクベアスの言葉は続く。
「ミリベアスのプリティーなお尻が当てられていた席だぞ。そこに座ると言う意味が貴様にはわかっているのか?」
いや、わからない。
マクベアスの隣、レオンだけがうんうんと頷いている。
(よくわかんないけど面倒くさ)
「お兄様! 黙ってください。何をそんなどうでもいい細かい事で怒ってらっしゃるのですか? 言っておきますけどわたくしとレイフォンは同じ寝床で朝を迎えた関係なんですよ。あ、そうそうわたくしだけではありません。アシュリーとマリベルと四人で朝を迎えた事もありますのよ、ふふっ」
「お前! 何を言ってるんだよ!」
誤解しか招かないミリベアスの発言にレイフォンはたまらず口をはさむ。
「ほら、アシュリーもマリベルも否定しろよ!」
アシュリーとマリベルは顔を赤くして黙ったままうつむいていた。
マクベアスとレオンは口を開いたまま固まっている。
アッシュはまだよく理解が出来ていない。
「ふふ、お兄様? レイフォンって凄いのよ」
何かを思い出すかのように、照れるような表情でさらに言葉を加えるミリベアス。
「そうだわ。もうこの際ですから言ってしまいますね。ここにいるレイフォンはわたくし達女性三人の将来の旦那様なんです」
止まらないミリベアスは最後まで言い切ってしまった。
(何を言ってるんだこいつ、何を言い切ってやがるんだよマジで!)
今現在でも面倒だと思っているレイフォンはさらなる面倒事が訪れる事を確信したのであった。
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