Episode 15
ベロアの街へと到着して宿屋に泊まった翌日。
「レイーーフォンーーレイフォンーーレイフォン!」
「うるさい! 俺の眠りを邪魔するな!」
「邪魔するよ! いい加減起きてよレイフォン!」
「ん? 犬が喋ってる?」
「犬だけどボクは犬じやないよレイフォン?」
「犬だけど犬じゃない? なら猫か?」
「どうしてそうなるんだよ!」
しばらく、寝ぼけたレイフォンと神様のやりとりが続いたあとーー
「おはよう、神様。って? 神様、朝から疲れてるみたいだけど、どうしたんだ?」
「……レイフォン覚えてないの? それと、もうすぐ昼なんだけどね?」
「昼? 俺を起こしてくれてもよかったじゃないか神様? 何で早く起こしてくれなかったんだよ?」
「…………」
「どうしたんだ神様?」
「ボク……もう疲れたよ……」
「朝から疲れたとか、神様って体力ないんだな?」
「誰のせいだと思ってるんだよ君は! それに朝じゃないからね!」
「ん?」
寝ぼけていた時の事を記憶してないレイフォンと疲れきった、いや、まだ元気そうな神様のベロアの街での二日目がはじまった。
ーー
「朝から今日は暖かいな」
『だからもう、昼だからね……』
レイフォンはベロアの街を歩いていた。
神様は透明化して姿を消してる。
「神様? 俺はこの街で何をしたらいいんだ?」
『少しは自分で考えようよ、レイフォン』
「って言われてもな……確か、世界はこれから大変な事が起ころうとしてるだっけ? つか、世界って範囲が広すぎないか?」
『だから、旅をしてるんだよ』
「確かに。そう言えば宿屋に泊まる時に神様は一週間ぐらい様子をみようって言ったけど、何かこのベロアの街で起こるのか?」
『よく覚えていたね? けど、この街で何かが起こるか起こらないかは正直、ボクにもわからない。神のみぞわかる事さ』
「神様はあんただろ?」
『そうだった……』
この神様、本当に大丈夫か? と心の中で思うレイフォンであった。
ーーーー
ベロアの街にある貧民地区のとある建物。
「お姉ちゃん……アイラお姉ちゃん……」
「ルン、私はここにいるわよ」
不安そうな目の見えない七歳ぐらいの少女ルンに優しく声をかけるレイフォンを宿屋に案内した少女アイラ。
「良かったぁ……」
ルンはアイラの声を聞いて安心したような表情を見せた。
「もうすぐ……もうすぐお金が貯まるから、そしたらルンの目を診て貰えるからね」
「うん! ありがとうアイラお姉ちゃん!」
アイラの言葉にルンは元気に返事して感謝を延べた。
ルンの目は元から見えていなかったが、数日前からルンの目は開いたままになり眼球は黒く、瞳の色が白く変化していた。
アイラはルンの目が悪化したのではないかと心配し焦っていた。
実は、このような目の色が変わり目が見えなくなる変化、現象は別の街や村でもルン以外の子供達にも起きていたのだ。
「アイラお姉ちゃん?」
返事をした後に言葉が聞こえなくなったアイラに再びルンは不安そうに声をかけた。
アイラはルンの目を不安そうに見ている。
ルンは自分の目の色の変化には気づいてない。
「ご、ごめんねルン。少しぼーっとしていただけだからね」
「大丈夫?」
「大丈夫よルン。心配してくれてありがとう」
そう言ってアイラはルンには悟られないように笑顔をつくり、頭を優しく撫でたのであった。
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