Episode 149
「ーーなさい ーー起きなさい ーー起きなさいって言ってるでしょレイ!」
「ん? 誰だ俺の眠りを邪魔するやつは……」
うっすら目を開け目覚めたレイフォン。
起こしていたのはアシュリー。
「何が俺の眠りをよ。いつまで寝てる気なのよ?」
「永遠に……痛っ!?」
答えようとしていると、頭に激痛を感じ慌てて起き上がったレイフォン。
「お、お前……ってアシュ? 何を持ってんだよ?」
レイフォンの視線の先にはそんな物どこにあったのかと思われるトゲトゲのついた鉄球を手に持つアシュリーの姿。
トゲの一部には血がついている。
「レイ、早く治した方がいいわよ」
「はっ?」
アシュリーの言っている意味がわからないレイフォン。
だがすぐに気づく。
「アシュリーさん? 何かポタポタと俺の頭から落ちて来てるんだけど? 気のせいか?」
「気のせいじゃないわよ? 目は覚めたかしら?」
「覚めると言うか、このままだと夢とは違う別世界に行きそうなんだけど俺?」
「だから早く治しなさいって言ってるじゃない」
それからレイフォンは
(どうして朝から殺されかけないといけないんだ俺は……)
と心で愚痴りながら魔法で自分の頭を治療しはじめた。
ちなみに朝ではなく夕方である。
ーー
「アシュリーさん? 前々から思っていたんだけど俺に対して何と言うか、過激すぎないか? 色々と?」
治療を終えたレイフォンはアシュリーに話しかける。
「だ、だって今のレイフォンじゃ木剣なんかじゃ満足しないでしょ?」
恥ずかしそうに答えるアシュリー。
「……なんで恥ずかしそうなんだよ? つか、満足ってなんだよ? 満足って?」
「だ、だってミリベアスが言ったんだもん……」
(あいつか……)
ようやくアシュリーの過激なスキンシップ? の理由がわかったような気がしたレイフォン。
「いいかアシュ? あいつの、ミリベアスの話はまともに聞くな。アシュは今まで通り普通でいいんだよ」
「普通って……木剣で? それとも魔法剣?」
「違う!」
「へ?」
首を傾げるアシュリー。
(俺に攻撃する事から離れろよ……まったく……)
レイフォンは呆れていた。
「あっ、そうだったわ。それよりレイ、すぐに一階に降りてきてくれる。レイフォンに紹介したい人達がいるの。ひとりは知ってると思うけど」
レイフォンを呼びに来た理由を思い出したアシュリー。
「紹介したい人達?」
「とにかく着替えてすぐに降りてきなさいよね。わかった?」
「え、あ、わかった」
いや、わからない。
そして、アシュリーはレイフォンが眠っていた部屋から出て行った。
ーー
「なんだよいきなり。紹介したい人達? 朝からーーってもう夕方なのか、ちょっと寝すぎたな」
窓の外を見てようやく今が朝じゃない事に気づいたレイフォン。
「よくわかんねぇけど。嫌な予感しかしない。つか絶対に面倒な事が待っている予感がするんだけど」
勘の鋭いレイフォン。
「つか、アシュの様子も変だったしな」
アシュリーは終始恥ずかしそうに顔を赤らめていた。
「どうする俺、ここは逃げてもいいんじゃないんだろうかと俺は思うんだよな」
回避する事を考えるレイフォン。
「けどな……そしたらアシュは怒るだろうしな……どうしたものか……」
悩むレイフォンであった。
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