Episode 143
王都に到着したレイフォン達一行。
「流石は英雄の女神様だったな。あれだけしつこく馬車の中を調べようとしてきた門番が女神様の顔を見ただけで大人しく簡単に通してくれたんだからな」
現在、王都への出入りのチェックは厳しくなっていた。
「女神様が居なかったらもっと時間がかかっていましたね」
「わたくし待つのは嫌いだから、女神様が居てくれて本当によかったわ」
「女神様、様々だったね」
わざとアシュリーのことを女神様と呼ぶ四人。
「あんた達……」
女神様は肩を震わせている。
恥ずかしさ7 怒り3
「さて、からかうのはこのくらいにしてとどうする女神様?」
「刺すわよ?」
「いや、もう刺さってるから少し……」
レイフォンの右腕に少し刺さる炎の魔法剣エンファート。
「大丈夫。レイなら簡単に治せるでしょ?」
微笑む女神様。
目は笑っていない。
「だからって普通、本当に刺すか? つか早く抜いてくれないか? 血が出てるんですけど?」
「レイにしか本当には刺さないわよ。特別よ?」
「そんな特別いらねぇから!」
声を大にして言葉を返すレイフォンであった。
(地味に痛いんだよ)
ーーーー
とりあえずレイフォン達一行は王都にあるアシュリーの屋敷に訪れていた。
「レイフォン?」
自分で腕の治療をしていたレイフォンに話しかけた神様(幼女)。
「なんだ神様?」
「ざまぁだね。くくく」
心配ではなくレイフォンの不幸を嬉しそうに笑っていた。
「神様? お前神様やめろよ。人の不幸を笑う神様とかダメだろう?」
レイフォンは呆れている。
「アシュリーじゃないけど、ボクにとってもレイフォンは特別だからね」
「ああ、そうか。よし、今から神様を天に帰してやるよ」
若干本気のレイフォン。
「マ、マリベル~! レイフォンがまたボクをいじめる~」
素早い動きでマリベルの所に向かい飛びつく神様。
「レイフォンさん、またですか?」
神様はマリベルに抱かれ守られている。
アッカンベー
レイフォンに向ける神様の表情。
「マリベル、今から神様を精霊界(天)に帰すから渡せ」
「ダメです~」
いまだにアッカンベーをしている神様。
(調子に乗りやがって)
その時ーー
ブスッ
「痛っ!?」
治療したばかりのレイフォンの右腕に痛みが走った。
「レイ? 遊んでないで夜の食事の材料を買って来てくれる?」
「いや、それはいいんだけど……なぜにまた俺を刺すわけアシュは?」
「ちゃんと治っているか心配して確認したのよ」
「言ってることとやってることがおかしいからな?」
(いや本当にマジで)
「アシュリーは照れてるんですね」
「アシュリーは素直じゃないものね」
「ツンデレだからねアシュリーは」
傍観者3人。
「べ、別に照れてないわよ!」
(なんで本当に顔を赤くして照れてやがるアシュ。つかーー)
「剣をツンツンすな! アシュ! 痛いから!」
訴えるちょっと涙目のレイフォン。
「あ……ごめん」
素直に謝るアシュリー。
このあと、再度右腕を治療をして買い物に出かけたレイフォンはレバーを購入したのであった。
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