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Episode 14

 ベロアの街に到着したレイフォンと神様。


 神様は透明化して姿を隠している。


「ここがベロアの街か……」


 街を見渡すレイフォン。


『レイフォン? とりあえず泊まるとこを探した方が良いんじゃないかな?』


「そうだな」


 神様はレイフォンの頭の中に直接話しかけている。


 空は夕日が沈みかけていて、神様の言う通りに確かに先に泊まるところを探す必要があった。


 宿屋を探して、しばらくベロアの街を歩いていると十歳くらいの汚れた服の少女がレイフォンに話しかけてきた。


 このベロアの街にはスラム街とまではいかないが、親を無くした子供達が住む場所が存在した。


 少女はおそらくそのひとりだろう。


「お兄さん、もしかして泊まるとこ探してる?」


「そうだけど?」


 レイフォンに少女の汚れた服を気にする様子はない。


「なら、私が良い宿屋を案内してあげる。だから、はい!」


 少女はレイフォンに右手を広げて差し出す。


「ん?」


 はじめは少女の行動が理解出来ていなかったレイフォン。


『レイフォン、きっと案内料って事だと思うよ』


 だが、神様に言われてなるほどとレイフォンは理解する。


「いくらだ?」


「う~ん、300SLかな?」


 この世界には3大国が発行したした共通通貨と共通通貨単位がある。


 ※※※


 通貨単位 SLセントルラ


 銅貨 10SL


 白銅貨 100SL


 銀貨 1000SL


 金貨 10000SL


 大金貨 100000SL


 白金貨 1000000SL


 全てが純度100%と言うわけではない。


 価値はおやつは300SLまでと言ったらおわかり頂けるだろうか?


 ※※※


「ほら、これで足りるか?」


 少女に案内料300SLを渡すレイフォン。


 レイフォンにはこの案内料が多いのか少ないのかわからない。


「一、二、三枚、っと確かに白銅貨三枚300SLだね。じゃあ、案内するからついてきてお兄さん」


「わかった」


 案内料を受け取った少女は機嫌さそうにレイフォンを案内するのであった。


 ーー


「ここだよ! お兄さん」


 少女に案内され宿屋にに到着したレイフォン。


「ありがとな」


「こちらこそありがとうお兄さん。じゃあ私は行くから。バイバイ!」


 少女は大きく手を振りながら笑顔で去っていった。


『見つかって良かったね』


「そうだな」


 神様に話しかけられたあと、レイフォンは宿屋の中へと入っていった。



「すみません? ふたり、いや、ひとりなんですけど泊まれますか?」


 神様を数に入れそうになったレイフォン。


「大丈夫だよ。何泊するんだい?」


「えっと……」


『一週間ぐらい、この街で様子を見てみようよレイフォン』


「なら、一週間でお願いします」


 この宿屋の女将と思われる女性に尋ねられたレイフォンは神様の言葉に従い答えた。


「あいよ。私はここの女将をしてるマサナだよ。ちなみにあんた? この宿屋は小汚ない子供に案内されなかったかい?」


「俺はレイフォンと言います。で、はい、案内は確かにされました。十歳ぐらいの少女ですかね?」


「いくら払ったんだい? 案内料は?」


「300SLです」


「レイフォンだっけ? それはたぶん、この街の貧民地区に住むアイラって名前の娘だね。それと、子供が宿屋を案内するぐらいの相場は100SLだよ。覚えておきな」


「あっ、はい。ありがとうございます」


 ピンとは頭にこないレイフォンだが、とりあえず親切に教えてくれた女将にお礼を延べたのだった。


 ーー


「貧民地区ね……」


「レイフォンの暮らしていた街にはなかったみたいだね」


「ああ」


 宿屋の部屋に入ると神様が姿を現し呟いたレイフォンに話しかけた。


「それは領主がしっかりしていたんだろうね」


「そうだな」


 レイフォンの頭の中にはアシュリーの父アスラ伯爵の顔が浮かんでいた。


「この世界では戦争は最近は行われてなかったみたいだけど、魔獣や魔物もいるからね。それに、戦争とまではいかないけど小競り合いはあるし、子供を捨てる親だってけっこういるんだ。だからスラム街や貧民地区と呼ばれる場所は決して珍しくはないんだよ」


「そうだな……改めてテスターの街は良い街だったと思うな」


「だね」


 この後、歩き疲れたレイフォンはすぐに眠りについたのだった。


 ※※※


 1日 24時間


 1週間 6日間


 1ヶ月 5週間 30日


 1年間 12ヶ月 360日


 ※※※



 

お読み頂きありがとうございました。

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