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Episode 139

 アシュリーが店から出て居なくなるまではあっという間だった。


「アシュのやつ、どうしたんだ?」


 あまり深くは考えていないレイフォン。


 だが、そんなレイフォンに


「レ、レイフォンさん! アシュリーを追いかけてください!」


 と、マリベルから声がかかった。


「なんだよマリベル? そんな焦ったように。ただアシュは帰っただけだろ?」


「そうですけど、そうじゃないんです!」


「は?」


「私にもよくはわからないですけど、レイフォンさんが原因なんですから、レイフォンさんがアシュリーを追いかけてください!」


「いや、言ってる意味がわからん。つか俺が原因? は?」


「いいから早く追いかけてください!」


 まったく理解が出来ていないレイフォン。


 そんなレイフォンを焦らすマリベル。


「は や く 追いかけてください!」


「わかった、わかったから静かにしろ」


「わかったなら早く追いかけてください」


(いや、わかってはいないけどな)


「しつこいなお前? とりあえずじゃあ、ちょっとアシュを追いかけてくるからこいつらを頼む」


 マリベルとミリベアスにアイラとルンの姉妹を預けるレイフォン。


「わかりました。早く追いかけてください」


 頷き、そして、しつこいマリベル。


 もう、レイフォンはマリベルには何も言わない。


「……ま、そう言う事だからアイラ、ルン、このふたりとここで待っといてくれ。飯は食べはじめといてもかまわないから」


「うん、わかった」


「わかったー!」


 頷く姉妹。


「じゃあ、行ってくる。ミリベアス? ふたりを頼んだぞ」


「わかったわ。行ってらっしゃい」


 手をひらひらと振り頷いたミリベアス。


「ふたりもな」


「うん。行ってらっしゃい」


「行ってらっしゃい!」


 言葉をかけ終わるとレイフォンはすぐさまアシュリーを追いかける為に店を出て行った。



 レイフォンも居なくなり、残った4人。


「あの……レイフォンさん、私にだけ言葉をかけてくれなかったんですけど? どうしてでしょうか?」


 しつこかった自分に気づいていないマリベル。


「さぁ、どうしてかしらね」


 ミリベアスは教えない。


「アイラちゃん、ルンちゃん? どうしてかな?」


 マリベルはレイフォンにスルーされた事がショックだったらしい。


「あの……私にもわかりませんマリ姉さん……」


 アイラはマリベルがしつこかったからとは言いづらくわからないふりをした。


「そう……」


 考えるマリベル。


 すると


「ねぇねぇ? マリお姉ちゃん?」


「ルンちゃん?」


 笑顔のルンがマリベルに話しかけた。


「わたし、わかるよ」


「え? 本当!?」


 驚くマリベル。


 マズイというような表情を浮かべるアイラ。


 そして


 答えるルン。


「うん! しつこいじょせいはキラわれるんだよ」


「え? しつこい女性?」


 キョトンとするマリベル。


 しかし、マリベルは自分の事を言われているとはまだ気づいていなかった。



 そんなやりとりをワインを飲みながら見ていたミリベアス。


「あ、あの小さな娘最高だわ。くふふ……」


 体を小刻みに揺らして小さく笑っていたのであった。


「マリベルもマリベルよ。あれだけ言っといて気づいていないなんて……くふふ……ああ、お酒がすすむわ」

 


お読み頂きありがとうございました。

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