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Episode 134

『アシュリー! レイフォン様が動いたぜ!』


『なんですって! 気づかれたの?』


『たぶんアシュリーに気づいたんだと思うぜ』


『どうしてよ?』


『いや、アシュリーよ。それだけ魔力を放出していたら気づかれるに決まっているだろう』


『ははは! アシュリーはそんなにレイフォン様を捕まえたいんだな』


『当たり前よ。それで、レイはどこに向かってるのよ?』


『森の方だな』


『森の方ね。わかったわ。またレイに何か動きがあったら教えて頂戴』


『うむ』


『わかったぜ』


 炎龍姉妹からレイフォンに動きがあったとの報告を受けたアシュリー。


(森に逃げるなんて好都合だわ。あそこなら思いっきり魔法を使っても大丈夫そうね)


「アシュリー? 急に立ち止まってどうしたのよ?」


 急に立ち止まり、今は考え込むような仕草を見せているアシュリーにミリベアスが声をかけた。


「レイが移動したわ」


「移動? どこに?」


「森の方よ。あそこならあまり人も居ないだろうから思う存分魔法を使えるわよ」


「アシュリーの魔法って火系統よね? 燃え移るとかは考えないのかしら?」


「……わ、私がそんなミスをするわけないじゃない。ははは……」


(そ、そうよ。私がそんなミスをするわけないわよ。大丈夫。問題ないわ)


 森に自分の魔法が燃え移るなどと微塵も考えていなかったアシュリーは少しだけ動揺していた。


 だがすぐに開き直る。


「それで? まだわたくしはレイフォンをどうやって捕まえるを詳しく聞いていないのだけれど?」


「そんなのふたりがかりで魔法で仕留めるだけよ」


「それ、だけ? 貴女何かレイフォンを捕まえる為の作戦があるみたいなそぶりを見せていなかったかしら?」


 シンプルなアシュリーの答えにミリベアスは呆れていた。


「それはレイの居場所がわかるって事よ。細かい作戦なんてあいつには無駄なのよ」


「確かにそうかも知れないけれど……まっ、いいわ。正妻に私は従うわ」


「いや、どうしてそこでまたそれが……あー! とにかくレイを捕まえに行くわよ」


「はいはい。ふふふっ」


 そして、アシュリーとミリベアスの2人もレイフォンが向かっている森の方へと向かったのである。



 ーーーー



「ちっ、やっぱりアシュには俺の場所がバレているみたいだな。どうせあいつら(炎竜姉妹)が俺の事を監視でもしていてアシュに報告しているんだろうな。まっ、ハンデとしては丁度いいだろう」


 レイフォンの予想は当たっていた。


「さてと、残り一時間か。まっ予定通りだなーーって、おっと!」


 森の中。


 レイフォンがひとり呟いているとレイフォンを目掛けて火球が飛んで来た。


「危ないだろ! いきなり!」


 火球を避けたレイフォンは火球を放ってきた人物、木の上に立つアシュリーに向けて言い放った。


「うるさいわね! なんで避けるのよ! 当たりなさいよ! そしてさっさと私達に捕まりなさい。今なら生きたまま捕まえてあげるわよ?」


「今ならって……お前は俺を殺す気かよ? 流石にそれはルール違反だからな?」


「レイは変なところに細かいんだから。それに、レイは死んでも死なないでしょ?」


 何をおかしな事を言ってるの? そんな表情のアシュリー。


「死んでも死なないって言葉はおかしいからな?」


「そうかしら? それより私にばかり気をとられてていいのかしら」


 アシュリーの言葉の直後。


「お、っと!」


 うしろから黒いカマイタチのような魔法がレイフォンを襲った。


 だがレイフォンはジャンプして難なく避けて見せた。


「二番目のわたくしの事もちゃんと見てくれないとすねるわよ?」


 魔法を使ってきたのはミリベアスである。


「知るか! 勝手にすねとけよ!」


「隙あり!」


 レイフォンがミリベアスに声をかけていると、今度はアシュリーの魔法、複数の炎の槍がレイフォンを襲ってきた。


「ほっ、ほっ、ほっ、と。 ーー残念だったなアシュ? 今の俺には隙なんてないんだよ? 魔法なんて使わなくてもお前らの魔法なんて簡単に避けられるんだよ」


 炎の槍も難なく簡単に避けたレイフォンは木から降りていたアシュリーに向かって挑発気味に言葉をかけた。


「言ったわね? もしもレイが魔法を少しでも使っても敗けなんだからね?」


「いいぜ」


 余裕の表情のレイフォン。


 口元が少し笑っているようにも見える。


「ミリベアス! 聞いたわね? レイが魔法を使っても私達の勝ちよ。だから本気でレイに攻撃をしかけなさい!」


「わかったわ。さて……魔法を使わないレイフォンはどんなものかしらね……」


 ミリベアスはミリベアスでこちらも楽しそうにうっすらと笑顔を浮かべていたのであった。



お読み頂きありがとうございました。

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