Episode 131
鬼ごっこ参加者の中にフードを深く被り顔を隠す人物が紛れ参加していた。
「ついにレイフォンに恨みを晴らす時がボクにも来たようだね。ふふふふ」
不気味に笑う人物、顔は見えないがその姿からレイフォン達と同年代ぐらいの少年に見える。
「流石に今の、この成長したセクシーなボクの姿を見てもレイフォンは気づかないだろうね。ふふふふ」
少年の正体は人間の姿の神様。
いや、少女である。
幼女から成長した姿。
女性特有の胸の膨らみはまったくないが。
「ボクがレイフォンを捕まえたあかつきにはレイフォンの額に『阿呆』って書いて、思う存分にこき使ってやるんだから。待ってなよレイフォン。ふふふふ……ははははは!」
高い笑いする神様。
周囲は参加者や見物客の姿が多くみられる。
端から見るとブツブツ呟いたり笑ったりする怪しい人物だ。
そんな神様を見る鬼ごっこを見物に訪れていた、とある親子。
「お母さん? あのお兄ちゃんなんか大声で笑ってるよ?」
「見ては駄目よ」
神様を見てそんな会話をしていた。
神様には会話が聞こえている。
だが、お兄ちゃんとの娘の言葉で自分のことだとは神様は思っていなかった。
「こんな人混みで大声で笑うなんて変な人間もいるんだね。ふふっ誰だろう?」
周囲を見渡す神様。
しかし、そんな人物はいない。
「ん? そんな人間はいないけど? まっいいか。それよりボクもレイフォンを捕まえに行かなくちゃ」
そして、走り出した神様。
「お母さん? つぎはなんかキョロキョロして急に走りだしちゃったよ、あのお兄ちゃん?」
「いい? あんな変な人には関わっちゃいけないわよ?」
「わかったお母さん!」
走り去った神様にはこの親子の会話は聞こえていなかった。
仮に聞こえてたとしても自分が言われているとは神様は気づかなかったであろう。
ーーーー
こちらも参加者のひとり、絶賛アシュリーに片想い中のチャド。
人気の少ない場所で腰をおろし座っている。
「あいつのせいでアシュリー様に俺のカッコ悪いところを見せてしまったじゃないか。この落とし前はしっかり、とらせてやるからな。俺が捕まえたらレイフォンにはアシュリー様の前で一日中カッコ悪いことをさせ続けてやる。そしてそれを見たアシュリー様はレイフォンに幻滅して、俺に目を向け、俺に好意を持つはずだ。うん、完璧だな!」
飛躍しすぎの妄想を膨らませているチャド。
仮にアシュリーがレイフォンに幻滅したとしてもチャドに好意を持つことはないだろう。
きっとアシュリーはまたチャドを見てもまた「誰?」と言葉にする程度の存在なのだから。
哀れチャド。
「俺は賢いから他のやつらみたいに必死には追いかけない。散々追いかけられ末に疲れきったレイフォンを俺が捕まえる。うん、これも完璧だな!」
余裕の表情を浮かべるチャド。
だが、残念なことにレイフォンが疲れることはないだろう。
それにチャドはレイフォンの居場所も知らない。
「はっはっは! 天才だな俺は!」
レイフォンの姿すら見ることなく終了を迎えるとは知らずに自画自賛して、ご機嫌に笑うチャドであった。
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