Episode 123
「と言うわけでレイ? また、あの鬼ごっこをやるかも知れないわよ?」
「あのなアシュ? と言うわけでからいきなり言われても俺にはわけがわらないんだが? つか、鬼ごっこはもうやったけどな」
レイフォンはアシュリー達がいるギルドカウンターのところにやって来ていた。
レイフォンを追いかけていた冒険者達はギルドと隣接している酒場の方で疲れはて床に倒れている。
「レイフォンさんは疲れてないんですか?」
尋ねたのはマリベル。
「久しぶりに追いかけられたけど問題なかったな」
「やっぱりレイフォンさんは(体力)バカなんですね?」
「マリベル、お前はわざと言ってるだろ? つか、ミリアさん? 壊れた椅子やテーブル代の請求はあの人達にしてくださいよ?」
「了解。久しぶりに見れたわね、ふふ」
マリベルはなんのこと? っといった表情を見せ、ミリアは懐かしむように微笑みレイフォンの言葉に頷いた。
(つか、とめてほしかったんだけどな)
「つか、私の話の途中でしょレイ?」
「そうだったな。って、そのつかってのは俺の真似かアシュ?」
「つか、そうよ。それで鬼ごっこってのは一昨年にやったあれよ」
「あれ? あれってあれか?」
「そうよ。あれよ」
レイフォンは一昨年に開催された街全体を使った大規模な鬼ごっこを思い出していた。
「あれか……あれは儲けさせてもらったな。で、どうして急に?」
「それはわたくしが参加したいと言ったからよレイフォン?」
話に入ってきたミリベアス。
「お前がか? 俺を捕まえる? ふっ、笑わせるなよ」
急に変なスイッチが入ったレイフォン。
「俺は行っとくけど逃げのプロなんだ。何人たりとも俺を捕まえることはできん!」
「えっ、急にレイフォンさんどうしたんですか?」
「ああ……レイは子供の頃から色々なものから逃げていたのよ。それがいつしか、どうしてこうなったのかはわからないけど、レイは逃げることに誇りを持つようになったのよ。そして、たまに変なスイッチが入るようになったのよね……」
呆れた表情を浮かべながらアシュリーはマリベルに説明した。
色々なもの=一位アシュリー 二位魔物(囮)
半分以上はアシュリーのせいである。
「誇りですか……」
マリベルに理解ができない。
というか普通の人には理解はできないだろう。
「なら、レイフォンは参加してくれるのね?」
「俺が逃げなくて誰が逃げるんだよ、ふっ」
スイッチが入ったレイフォンはおかしかった。
なぜか片足を椅子に乗せ、手を顎に添えている。
「流石のわたくしにも今のレイフォンは理解できないけれど、参加してくれるのことだからアシュリー頼んだわよ?」
少しだけ表情がひきつったミリベアス。
「わかったわ……帰ったらお父様にちゃんと言うわ」
あまり乗り気のしないアシュリー。
(どうしてこのタイミングでスイッチが入っちゃうのよ……レイのバカ)
「さて、今回も俺のひとり勝ちだな。どんどん参加者を集めるといいぞ。俺は絶対に誰にも捕まらないがな。はっはっは!」
上機嫌に笑うレイフォン。
「アシュリー? お医者様に見せた方がいいんじゃないですか? その……今のレイフォンさん……キモイです……」
「ごめんマリベル。あれはお医者様でも治せないわ。私もあのレイはちょっと苦手なのよね」
「私も流石にあのままのレイフォンは嫌ね」
スイッチの入ったレイフォンは三人には不評であった。
「なにこそこそ話してんだよお前ら? 俺をどうやって捕まえるかの相談か? ふっ、悪いがそれは無駄なことだ。なんたって俺は世界最強だからな。はっはっは! 俺の本気を見せてやるぜ」
別のところで見せろよ
三人は再び笑いだし豪語するレイフォンを見て思ったのであった。
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