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Episode 122

 ギルドで自己紹介を終えたあとアシュリー達3人はカウンター付近でミリアと四人で何やら雑談をし始めていた。


(アシュリー頼んだぞ)


(わかってるわよ)


 レイフォンはチラっと目があったアシュリーにミリベアスとマリベル2人に余計なことを言わせないようにと目で送り、アシュリーもそれを目と頷きで返した。


 直後


「おい、レイフォンなんだあの綺麗な嬢ちゃんふたりは?」


 話しかけた酔っぱらい冒険者。


 レイフォンは男性冒険者達に絡まれていた。


(酒くせーよ)


「なんですか? さっき紹介したじゃないですか? ただの旅の仲間ですよ」


「ということはアシュリー様とあの嬢ちゃんふたりと旅をしてたってことか?」


「まっ、そうなりますね」


(神様とか言う犬もいたけど。つか、神様はどこに行ってるんだ?)


「おい聞いたかお前ら?」


「おう、聞いた」


「やっちまうかこいつ」


 いきなり立ち上がりだした冒険者達。


「あの? 意味がわかりません?」


「決まってるだろ? お前が羨ましくて憎いんだよ?」


 別に冒険者達は本気でレイフォンを憎んでるわけではないが、女っ気のない冒険者達はアシュリーはともかく(昔から知っているから)さらにふたりの美少女と旅をしていたと聞いて羨ましさ、嫉妬に火が付いてしまったのだ。


「はっ?」


「やっぱり顔か? 顔なのか?」


「きっとこいつの外見と話し方に騙されたに違いない。そうじゃないとおかしい」


「そうだそうだ!」


「レイフォン! 俺の顔を返しやがれ!」


「いやいや、あんたの顔じゃないからなっ! と」


 自分の顔を触ってこようとしてきた冒険者から避けながら、レイフォンは丁寧口調が崩れてツッコミをいれた。


「こいつ、本性を出しやがったぞ」


「とりあえず捕まえろ!」


「「「おう!」」」


 そしてはじまった鬼ごっこ。


 レイフォン以外皆が鬼。


「酔っぱらいどもが俺を追いかける暇があったら、さっさと働きにいけー!」


 叫びながらギルド内で逃げまわるレイフォン。


「お前にだけには言われたくねぇよ!」


 それを追いかける冒険者達であった。


 ーー


「あ、あの? とめなくていいんですか? あれ?」


 レイフォン達を見て尋ねたのはマリベル。


 しかし


「いつものことよ。気にしないでいいわ」


「そうね。相変わらずレイフォン君は人気者ね」


 気にする様子もなく答えたアシュリーとミリア。


「人気者です、か? あれで、ですか?……」


 冒険者達は武器を持ってレイフォンを追いかけていた。


「大丈夫よ。レイフォンは今まで一度も捕まったことがないんだから、レイフォンは逃げのプロなんだから」


「逃げのプロ、ですか?」


 理解のできていないマリベル。


「そうそうアシュリー様の言葉で思い出したわ!」


 唐突にミリアは手を叩き話しはじめた。


「確か、前に街を使った大規模な鬼ごっこをしたわね」


「街を使った大規模な鬼ごっこですか?」


「そういえばそうでしたね、ふふっ」


 懐かしむように笑うアシュリー。


「参加者全員でレイフォン君ひとりを追いかける鬼ごっこよ」


「え?」


「へぇ~」


 マリベルは驚き、ミリベアスは興味を沸かせた表情を見せる。


「それでどうなったのかしら?」


「レイが逃げきったのよミリベアス。それで参加料は全部レイのものになったのよ。あの時のレイのあのむかつく笑顔は忘れられないわ」


「まっ、レイフォンなら逃げきるでしょうね」


「確かに……レイフォンさんなら可能かもですね……」


 鬼ごっこの結果をアシュリーに聞いたミリベアスとマリベルは納得の表情を浮かべていた。


「それでもし、レイフォンが捕まったらどうなってたのかしら?」


「それは……」


「それはね。捕まえた人がレイフォン君を一日二十四時間自由にできる権利をもらえたのよ」


 言いにくそうだったアシュリーの代わりにミリアが答えた。


 鬼ごっこには自分も参加していたのでアシュリーは恥ずかしくて言えなかったのである。


「それはいいわね」


「た、確かに……」


「い、いっとくけどいくらミリベアスでもレイを捕まえるのはムリよ!」


「どうして顔が赤いかは知らないけど、やってみないとわからないじゃないアシュリー?」


「いや、絶対ムリよ!」


「なら、試してみましょう?」


「「へっ?」」


 ミリベアスの試すとの言葉にアシュリーとなぜかマリベルまでが少し驚いた表情をして声をだした。


「アシュリーのお父様はこの街の領主様でしょ? 貴女が頼めばできるんじゃない? 鬼ごっこ」


「たぶん……お父様なら大丈夫だとは思うけど……」


「思うけどなにかしら?」


「レイが頷くかどうか……」


「アシュリーが言えば頷くでしょ?」


 話を聞いていたマリベルとミリアは確かにと思った。


「わかったわミリベアス……けどできるかはまだわからないわよ?」


 渋々といった感じに頷いたアシュリー、


「大丈夫よ。結局はやることになるのだから。じゃあ細かいこと決めていきましょうか?」


 ミリベアスは微笑みを見せたあとに仕切りはじめたのであった。



 こうしてまたレイフォン抜きの知らないところで、レイフォン中心のイベントがはじまろうとしていた。



 その頃、レイフォンは


「しつこいな酔っぱらいどもが! 働けー!」


 まだ冒険者達から追いかけられ逃げていた。




お読み頂きありがとうございました。


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