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Episode 107

 目をゆっくりと覚ますレイフォン。


「ここは……知らない天井……」


 ではない。


 宿屋の部屋のベッドである。


「生きてたのねレイ」


 心配そうな表情を見せるアシュリー。


「いや、俺を殺そうとしたのはアシュだからな?」


「はて?」


 首を傾げけて惚けた表情を見せるアシュリー。


「あのな……。それでふたりはどこに行ったんだ? 見当たらないけど?」


 上半身をあげてまわりを見渡したレイフォン。


「レイが死んでる間にふたりは外に出かけたわよ」


「……死んでないからな俺?」


「そうだったわ……」


「とりあえずは誤解は解けたみたいだな?」


 レイフォンはアシュリーの表情を見て、そう感じた。


「一応ね……けど、レイがふたりの胸を掴んで触った事実は変わらないわよ?」


「それは……」


「ど、どうだった?」


 恥ずかしそうに尋ねるアシュリー。


「はっ? 何がだよ?」


「む、胸よ……ふたりの……」


「どうも思わねぇよ。あれは事故だ、うん」


 自分に言い聞かせるように答えたレイフォン。


「じゃ、じゃあ……私の……私の胸も触ってみる?」


 頬を赤くさせながら上目遣いで言い出したアシュリー。


「おま!? お前な! いきなり何を言い出すんだよ!」


「嫌なの? レイは私の胸は触りたくない?」


 殺されかけたと思ったら、目覚めたらつぎはそんなことを言い出したアシュリーに、レイフォンは顔を少しだけ赤くさせて動揺していた。


「いや、そうじゃなくてな……いきなり触るのはおかしいだろ?」


「その……いきなりじゃなくて……ゆっくりの方が私はいいかな……」


(そういう意味じゃない!)


 その時


「あのね、実はボクはまだいたりするんだよね……」


「か、神様!?」


 部屋に残っていた神様が言葉を発し、それに気づいたアシュリーは驚き、恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせた。


「いたのか神様?」


「あっ、うん。アシュリー? 言っておくけど、ボクは覗こうとしたわけじゃないからね? はじめからいたからね?」


 また、アシュリーに痛めつけられてはかなわないと先に言葉を述べた神様。


「わ、わかっています……」


 とにもかくにも助かったと思ったレイフォン。


 別にレイフォンはアシュリーの胸を触りたくないわけではない。


「それで神様はなんで残っていたんだ?」


「それはレイフォン達に情報を伝える為かな。だけど、う~ん、どうしようかな? 教えようかな?」


 もったいぶる神様。


「いいから早く言えよ阿呆犬」


「はぁ~。あの頃の素直なレイフォンはどこに行ったんだい?」


「知らねぇよ? ほら早く言え」


「しょうがないな」


 神様はやれやれといったふうに話はじめた。


「魔族に動きがあったんだよ」


「それは、本当ですか神様!?」


 レイフォンより早くに反応を示した、いつのまにか、いつも通りに戻っていたアシュリー。


「うん。近々、中立国ジャリックで世界武道大会が行われるとの発表があるよ」


「それと魔族と何が関係あるんだよ?」


「それが大ありなんだよ。その大会で上位になった者三人が人間の代表者として魔族と戦うことになるんだよ」


「どういうことですか神様?」


「魔族から人間側にある提案の手紙が届いたんだ。人間と魔族の代表者による六対六の勝負。人間側が勝利すれば魔族は100年間は人間達の国には攻めない。逆に負ければすぐにでも攻めこんでくるらしいよ。行われるのは半年後。その代表者を決めるのが世界武道大会なんだよ」


 神様の話を聞いたレイフォンは考える仕草をしたあとに、尋ねた。


「それが本当だとしたら3人だとおかしいだろう?」


「残りの三人は勇者達だよ」


「なるほどな……」


「そ、それって魔族側からの提案なんですよね? 信用なんてできるんですか?」


「信用なんて誰もしていないだろうね。だけど、もし断ったらすぐにでも魔族達は再び襲い攻めてくるだろうね?」


「そんな……」


「強制ってなわけか……魔族の考えは本当にわからないな」


 アシュリーは苦い表情を浮かべたあと、自分はどうすればいいのか考えはじめた。


 レイフォンはただ、魔族はよくわからない、そう思っただけであった。


 

お読み頂きありがとうございました。

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