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Episode 103

「それで、用件は何かしら? 三文字で言いなさい?」


 仕方なく東の勇者カルカの話を聞いてあげることにしたミリベアスとアシュリー。


「ミリベアス? 三文字って、それは流石に……」


 無理だと思う苦笑いのアシュリー。


「さ、三文字だな? わ、わかった…………って、無理に決まってるだろうが!」


 一応は頑張って考えてみたカルカ。


「なら、話しはおしまいね。帰りましょうアシュリー」


「待ってくれ!」


「貴方は今、頼み込む立場よね?」


「……待ってください。お願いします」


 声を小さくし、丁寧に頼み込むカルカ。


「どうしようかしら?」


 首を傾げるミリベアス。


(ミリベアスって絶対にSよね……)


 アシュリーはそう思った。


「それで、さっさと話しなさい?」


「あ、ありがとうございます」


 どうして勇者である自分がと思うカルカ。


「ふたりを是非とも俺のパーティーに加えてやろうかとーー」


「やろうかと?」


「いえ、是非ともなって頂きたいと思いまして、はい」


 ミリベアスから威圧を感じて丁寧に言い直したカルカ。


 ミリベアスは別に威圧などはしてはいない。


「わかったわ。断るわ」


「どうして! 勇者パーティーメンバーになれるんだぞ!」


「興味ないわ。あとうるさいわ」


「ぐっ……」


(なんなんだ……この女は……)


「と言うわけで話しは終わったわよね?」


「まだだ……まだ終っていない! 俺と勝負しろ!」


 ミリベアスに指をさし声をあげたカルカ。


「誰に指をさしてるのかしら? 殺すわよ?」


 ミリベアスは本当にカルカに向けて威圧を放った。


「も、も、申し訳ございません」


 顔色が悪くなるカルカ。


「それにわたくし達はブラックベアの女性とは関係ないと言ったはずよね?」


「あっ、はい……しかしですね……おふたりで間違いないかと思われまして、はい」


 この人は誰? と思っているカルカの仲間のペコ。


 アシュリーはミリベアスに任せて傍観することに決めていた。


「それでわたくしが勝ったら何をしてくれるのかしら貴方は?」


「く、靴でも何でも舐めます。何でも言うことを聞きます女王様」


 残念だがミリベアスは王女である。


 魔国のだが。


「誰が女王様よ……それに流石にそれはないわ……というか貴方、気持ち悪いわよ」


「うぐっ」


 ミリベアスの言葉にダメージを……いや、表情をニヤっとさせて喜びを感じていたカルカ。


 何かに目覚めたようだ。


「その気持ち悪い顔やめてくれる?」


「ありがとうございます、ではなくわかりました」


「……丁寧に話すのも、もうやめて……気持ち悪い……」


 ミリベアスはカルカが喜んでいることには気づいてない。


 ただ本当に気持ち悪いと思っているだけであった。


「わ、わかった」


「とりあえずわたくが勝ったらわたくし達には近寄らないでくれるかしら?」


「そのご褒美……ではなく条件のんだ! そのかわり俺が勝ったら毎日罵倒、いや仲間になれ! いいな?」


「はっ? わからないけどわたくしが負けることはないわ。では早速はじめましょう」


「おう!」


 そしてはじまった、ミリベアスとMに目覚めた東の勇者カルカとの戦い。


 


 三分後ーー


 地面に気持ち良さそうに気を失っているカルカの姿があった。


「ちょっとそこの貴方?」


「は、はい姐さん!」


 返事をしたのはペコ。


「誰が姐さんよ……まっ、いいわ……。わたくしが勝ったのだからそこの気持ち悪く眠っている勇者には、貴方からちゃんと言っておいてくれるかしら? 約束通りにわたくし達には近づかないようにって?」


「わ、わかりました!」


 それからすぐにミリベアスとアシュリーは去っていった。



「姐さん……格好いい……」


 いつも自分のことをバカにするカルカを口でも戦いでも圧倒したミリベアスにペコは尊敬と憧れを持ってしまっていた。


「女王様……俺をもっと殴って……むにゃむにゃ……」


「確かに……気持ち悪いかも……いや、気持ち悪い……」


 地面に倒れてよだれを垂らし、寝言を言っているカルカを見てペコは呟いたのであった。


 


お読み頂きありがとうございました。

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