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Episode 101

「今このイルガリア王国の地にて永久に眠る人々を安らかなる場所へと送りたまえーー送り火!」


 レイフォンは理解の追いついていないふたりに、今からすることを秘密にと約束させてから、両手を上空にかかげて魔法を発動していた。


 本来は言葉や詠唱はいらないレイフォンなのだか、ふたりにわかりやすいように、あえてそれっぽい言葉を口にしている。


 レイフォンが言葉を言い終わると、転がっていたいく数もの遺体が青い炎に包まれて上空へと浮かんでいた。


「こ、これは!?」


「す、凄い!?」


 ふたりは上空を見上げて目を見開いていた。


 上空に高く上がった青い炎はやがて小さくなった。


 確認できるだけで上空には数千もの青い炎が見える。


「俺にできるのはこれぐらいだ」


 レイフォンが呟くと、青い炎は弾けるように消えていった。


「「……」」


 ふたりはまるで夢を見ているかのような錯覚を覚えていた。


「これでいいか?」


「「……」」


 ふたりは上空を見上げたまま固まっている。


 そして


 ふたりは目を瞑り上空に向けて祈るように手を合わせた。


「安らかなる眠りを……」


「安らかなる眠りを……」


 口を開き再び2人に声をかけようとしたレイフォンだが、なにも言わずにゆっくりと口を閉じたのであった。


 ーー


「レイフォンさんありがとうございました」


「ありがとうレイフォン君」


 しばらくしてから、ふたりは頭を下げてレイフォンに感謝を伝えた。


「別に気にしなくてもいい。ただ約束さえ守ってくれればな」


「はい、もちろんです。マリベル・イルガリアの名に誓って約束は守ります」


「私もよレイフォン君」


「まっ、それならいいんだけどな」


 ふたりはレイフォンが何者なのか気になるが詮索はしないつもりでいた。


「流石に国というか街を修復することは無理だからな?」


 本当はやろうと思えばできるレイフォン。


「そ、そこまでは望んでいません。先程のことだけで私は感謝をしているんです」


 マリベルの言葉に頷くエリザ。


「別に感謝もいらねぇよ」


「いえ、私は一生レイフォンさんには感謝をしていると思います」


「それはそれでなんか嫌だな……」


「ど、どうしてですか!」


「なんとなくだよ、なんとなく」


 マリベルの表情はどことなく晴れやかに見える。


 エリザもまた、同じように晴れやかな表情で2人を見ていた。


「で? つぎはどうするんだ?」


「あっ、はい。少し王都の街を見てまわりたいと思っています」


「そっか」


 今のマリベルなら大丈夫だろうとレイフォンは思っていた。


「では、姫様。明るいうちにまわってしまいましょう」


「そうね」


 そして、歩きだした三人。


 レイフォンの魔法のお陰で遺体を目にすることはなかったが、それでも酷い状況であることには変わりはなかった。


「やはり、生きている方は見当たりませんね……」


「生きているのなら別のところに逃げてるだろ普通?」


「そう、ですよね……」


 レイフォンの言葉に確かにと頷いたマリベル。


 その時だった。


「おっ! 生きてる人間がいるじゃねぇか」


「しかも美人がふたり」


「うひょおー!」


「男のガキもいるけどな」


「急に死体が消えたりすりからおかしな国だと思ったけど、来て正解だったな」


 目の前に現れた男性五人。


 おそらく火事場泥棒である。


 大きな布の袋を持っているのが見える。


「貴方達は何をしてるんですか!」


 叫んだのはマリベル。


「何って、仕事だよ、なっ?」


 ひとりのの男性がそう言うと、残りの男性達が笑いながら頷いた。


「ふざけないでください! その袋に入ってるのは何なんですか!」


 マリベルも男性達が火事場泥棒であることに気づいているのであろう。


「戦利品だぜ嬢ちゃん」


 にやつき答える男性。


「外道が!」


 それに対して叫んだのはエリザ。


「それよりも、俺達と楽しいことをしようぜ?」


「優しくしてやるからよ」


「そうだぜ」


 なめまわすようにふたりの体を見る男性達。


「楽しいことってなんですか!」


(バカこいつ!)


「それはなーー」


「言わせるかよ!」


「ぐへっ!」


 瞬時に男性に詰め寄り殴り飛ばしたレイフォン。


 ついでとばかりに残りの男性達もレイフォンは殴り飛ばし気絶させた。


(危なかった……)


「バカかお前は! なにを聞こうとしてるんだよ!」


「なにってなにですか?」


 キョトンとした表情で首を傾げるマリベル。


「言うわけないだろバカ!」


「へっ?」


 どうしてレイフォンに怒られているのかわからないマリベルであった。


 


お読み頂きありがとうございました。

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